吉祥寺の商店街や駅前を、着物地を使ったオーダーメードのドレスなどをまとって美しく着飾った女性たちがソーシャルディスタンスを取って歩くナイトパレードが6月28日、開催された。

吉祥寺通りのユニクロ前で信号待ちするシンデレラと魔女たち

　主催は3年前の2019年6月、40歳以上の女性を対象に、衣装、ヘア、メーク、スタイリング、撮影までをトータルコーディネートして、「女性の変身と進化を記憶と記録に残したい」と始めたシンデレラプロジェクト。昨年予定していたがコロナのために中止に追い込まれたため、今回が初めての開催となった。

　衣装を提供するアートファッションデザイナーの三村はじめさんは「おしゃれはドレスアップしただけでは、完成しない。動いてこそ、身に着けた服の良さが見えるし、所作が加わることでその方の魅力も輝く。シンデレラになったら、街を歩いて、そのことを実感してほしかったのでパレードを企画した」と話す。

　今回のシンデレラメンバーは今まで月1回ペースで行われたプロジェクトの参加者を中心に、福岡からタレントの上田祐有子さん、富山からテーブルコーディネーターの杉野由紀子さん、子育てが終わって自分の時間を楽しんでいるという富永由美さんなど9人が参加。最高齢は72歳。パレードには女性に「魔法をかける魔女」として、シンデレラへの変身を担当するプロジェクトリーダーで、ヘアサロン「Sorcier（ソルシエ）」（本町2）店主でヘアプロデューサーの笠木ルミ子さん、メーキャップアーティストの首藤亜沙実さん、カメラマンでユーチューバーでもあるたけみきさん、スタイリングの三村さんや、「シンデレラでもありながら魔女でもある『隠れ魔女』」というオーダーメードダイエットの野際智子さんなども加わった。

　衣装と合わせて三村さんがオリジナルで作ったマスクを着けたシンデレラたちが歩いたルートは、着付けとヘア、メークの会場となった「ソルシエ」前の西三条通りを出発。中道通りを通って、吉祥寺駅北口へと平和通りを進み、駅前ロータリーを抜けて吉祥寺大通りへ。五日市街道まで進んで左折、サンロードを駅へと向かい、吉祥寺コピス前の元町通りへと折れ、東急百貨店横の吉祥寺通りから大正通りへ。再び西三条通りに入り、ソルシエへ戻った。「美しくなったら、歩き方も美しくなければ」とプロジェクトの後、ウオーキングスタイリストの小野寺麻理子さんの指導で、歩き方のレッスンを受けたシンデレラも。「成果はどうか。これも美しく生きるための勉強」と魔女たちの声。

　「コロナで沈みがちな吉祥寺の街を元気づけて明るくしようと思い付いた企画だが、おしゃれしてさっそうと歩くシンデレラに、街行く人が立ち止まって、『きれい、モデルさんですか』と声を掛けてくれた。人に見てもらうことへの緊張感とアピールの大事さを体験することができたので、1回目としては大成功」と三村さん。

　「コロナのため、少人数でのパレードになったが、これからも少しずつシンデレラの数を増やして、この時期の吉祥寺名物のイベントにしたい。吉祥寺の駅を降りたら、何だか女性がキラキラ輝いていると感じる街にしていけたら」と意気込む。