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「私は燃えつづける」 吉祥寺美術館で三岸節子生誕110周年記念展

コピス吉祥寺A館7階にある吉祥寺美術館の入り口。のぼりに使われた絵は作品の中でも珍しい色彩を持つ「花と蝶」

コピス吉祥寺A館7階にある吉祥寺美術館の入り口。のぼりに使われた絵は作品の中でも珍しい色彩を持つ「花と蝶」

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 武蔵野市立吉祥寺美術館(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-22-0385)で現在、94歳まで描き続けた女流画家・三岸節子の生誕110年記念展「私は燃えつづける」が開催されている。

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 三岸節子は1905(明治38)年生まれ。愛知県起町(現一宮市)出身。女性が美術学校に入学できない時代に女子美術大学を首席で卒業し、女性として初めて春陽会で入選した。画家・三岸好太郎と結婚したが先立たれ、3人の子どもを抱えた身となる。画家を職業として生きるしか術(すべ)が無かったこともあり、女流画家として戦後は男女同権を実現するために女流画家団体の結成に加わるなど女性が正当に活躍できる場をつくった。

 制作年順に展示する絵画は一宮市三岸節子記念美術館所蔵の油彩画を中心に素描や装丁本、パレットなどを含め約80点。自画像(1925)、「月夜の縞馬」(1936)、「花と魚」(1952)、「盾を持った武士」(1956)、「太陽」(1964)、「アルカディアの赤い屋根(ガヂスにて)」(1988)、「花」(1989)、晩年の93歳で描いた「さいたさいたさくらがさいた」(1998)、絶筆の「花」(1999)など。移り住む場所ごとに変わる作風や晩年を過ごしたフランスで描いた鮮やかな色彩の絵画を楽しめる。

 スケッチ旅行に同行した孫で同展の監修も手掛けた三岸太郎さんによる講演会「三岸節子を語る」も予定するがすでに満席に。「(来館者は)三岸節子と同時代を生きた60~70代の女性を中心に日を追うごとに増えている。女性が思うように活躍できなかった時代、困難を抱えながら生き抜いた女性が自らの半生を重ねながら見学している」と話すのは、同展を企画した学芸員の菅沼万里絵さん。

 同展企画のきかっけについては、「画家は名声を得ると作風が固定され同じような作品を描き続けることが多い。そうならなかった三岸さんの絵の持つ力強さに共感したから」と話す。「名声に甘えず、描くのが苦しくても晩年まで新しい画風に挑戦し続ける根性があった。それは筆のタッチに表れており、眺めていると自分もやらなければという気になる。好んで描いたモチーフの赤い花は人を元気にするパワーがある。それをも感じていただければ」とも。

 開館時間は10時~19時30分。入館料100円。12月27日まで。巡回予定は2016年1月23日~3月6日が一宮市三岸節子記念美術館(愛知県一宮市)、
3月17日~5月18日が香雪美術館(兵庫県神戸市)

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