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平家琵琶と薩摩琵琶を聴き比べ 吉祥寺で流派超えた演奏会 

鶴田流薩摩琵琶(左)平家琵琶(中央)正派薩摩琵琶(右)

鶴田流薩摩琵琶(左)平家琵琶(中央)正派薩摩琵琶(右)

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 吉祥寺第一ホテル(武蔵野市吉祥寺本町2)で11月1日、平家琵琶と薩摩琵琶の聴き比べ「辨天(べんてん)琵琶会~源氏のものゝふ・源氏のつはもの~」が開催される。

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 3年前、大河ドラマ「平清盛」をきっかけにツイッターで知り合った平家琵琶演奏家の鈴木まどかさん、薩摩琵琶演奏家の後藤幸浩さん、水島結子さん。2012年12月に初めて共演した。その後、年1回辨天琵琶会を続けている。違う琵琶を共演させることで、その琵琶が何を好まれて今のように発展してきたのかが分かるという。

 鎌倉時代に成立し室町時代に発展した平家琵琶は徳川幕府の法要式楽だったこともあり、芸能よりも儀式性が重んじられ発展した。平家物語を静かに語るためのもので、薩摩琵琶に比べ音が小さい。幕末以降に芸能として大衆に親しまれた薩摩琵琶は、富国強兵政策とともに戦争中に急速に発展。兵隊の活躍を薩摩琵琶の節をつけて放送することもあったという。勇壮な弾法と、力強く派手な節回しが特徴。

 「平家琵琶と薩摩琵琶は同じ琵琶でもかなり異なる。そのため通常は琵琶の種類や流派が異なれば合奏はできない。後藤、水島の異流派デュオはとても貴重」と鈴木さん。

 同イベントでは、平家物語巻之九「宇治川」「木曾最期」に登場する源氏の武将たちにスポットを当てる。宇治川で先陣争いをする梶原源太景季と佐々木四郎高綱の武士の意地と策略。同じ源氏の武将に追われ壮絶な最期を遂げる木曾義仲と今井四郎兼平を淡々と語る中で、聴き手の想像力を揺り動かす平曲と、弾法を駆使して臨場感を盛り立てる薩摩琵琶で表現する。

 「異なる琵琶ではあるが、物語を追悼や鎮魂の要素も含みつつ語り歌う部分は共通している。二種類の琵琶で物語のさまざまな奥行きを楽しんでいただければ」と後藤さん。

 「勇壮で華麗な薩摩琵琶に漂う豊富な可能性と、静かな平家琵琶に秘められた伝承の長さ。演奏者本人が、聴き方や味わい方までレクチャーする琵琶の演奏会はまれ。生の伝統芸能に触れ関心を持ってほしい」と鈴木さん、水島さん。

 開催時間は13時30分~15時。入場料は3,000円(ワンドリンク付き)。要予約。

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