井の頭恩賜公園が2017年5月に開園100周年を迎えるのに向けて、無料のカウントダウン新聞「いのきちさん」が発行されている。
名称は、井の頭公園の「いの」、吉祥寺の「きち」、三鷹の「さん」を並べた。創刊は昨年の「11・12月号」で、当面は隔月発行の予定。折り畳むと縦19.5センチ×横9.5センチになる蛇腹式の表裏10ページで、2号となる「1・2月号」は約7000部印刷した。
地元在住のライターや絵本作家らが執筆・編集し、三鷹市の印刷・出版会社「文伸」が制作を支援。同社の川井信良社長(62)が編集長を務める。川井さんは、30年以上前に三鷹周辺を対象にした手書きのミニコミ誌「みたかきいたか」を発行するなど、地域に根ざした情報誌に長年携わってきた。
「ミニコミを通じて、作り手も読み手も地域にいろんな人がいることを知ることができる。人の輪が広がっていくのはまちづくりの基本」と考える川井さんは2008年から井の頭公園100周年を視野に入れ、フリーペーパーの構想を温めてきた。今年同社が創業50周年を迎える記念に、街への恩返しとして創刊を決めた。
表紙は、井の頭公園の池にすむコイのイラストで、文章もあり、号を重ねるごとにストーリーがつながる連載になっている。週末などに開催される「アートマーケッツ」の出店者や大道芸人を紹介する「ヘブンアーティストな人々」や、井の頭自然文化園の人気者・ゾウのはな子の様子を伝える「今月のはな子」、公園の歴史や生き物の話、実施準備が進む「いのけん(井の頭公園検定)」の設問と答えもある。
「自分はもともと恥ずかしがり屋だが、人に出会える喜びや教わることの面白さがそれを上回るくらいミニコミ誌作りには魅力がある。100周年までの5年間で、いのきちさんを通じて人のつながりがどれだけ膨らんでいくか楽しみ」と川井さん。
公共施設や書店、飲食店などに設置する。5・6月号では、今年70周年を迎える自然文化園の特集を組む予定という。