吉祥寺の中道通りから一本入った道沿いのビル1階でビンテージの古着や雑貨・アート作品などを販売するセレクトショップ「ONZO(オンゾ)」(武蔵野市吉祥寺本町2)が6月17日で1周年を迎えた。
デザイナーで店主の尾上(おのうえ)孝仁さんは、アパレル関係の専門学校を卒業後、アパレルメーカーでデザイナーを経験。企画、営業と16年の勤務を経て、2023年に独立して同店を立ち上げた。
店名の「ONZO」は、平安時代の日本語で「お召し物」を意味する「御衣」(おんぞ)から付けた。「生活に寄り添うお召し物を提供したいという意味と、日本のビンテージ品をインテリアに使ったり、花瓶などを販売したりしているので、日本の伝統、文化、歴史を感じてほしい」との思いを込めたという。尾上さんはお盆やお祭り行事、年始は着物姿で営業しており、男性限定ながら花火大会の日は無料で着付けも行う。
古着店が多い吉祥寺で店を始めたのは、「武蔵野市に住んでいるので細かな対応ができることと地域の方々との距離の近さに魅力を感じたから」。「他の古着屋さんを同じ仲間と捉え、一緒に吉祥寺を魅力ある街にしていきたい。当店に好みのものがないときは他の古着屋を紹介することもある」と話す。
店舗面積は19.8平方メートル。店内には、実家のある名古屋の古着輸入業者などや海外から直接または尾上さんが信頼する海外古着の輸入業者から買い付けたブランドの古着やリメーク商品が並ぶ。他に帽子、バッグ、シューズ、アクセサリー、インテリア雑貨、植物を用いたアート作品など、季節ごとに変わる内容で常時450~500点をそろえる。
「オープンから1年。『お帰りなさい』と言えるお客さまが増えてきた。当店の役目は、日本や世界のことや自分が学んだ文化や歴史、その服に込められた意味や思いを伝えること。お客さま一人一人や一組との会話を大切にし、服を買うだけでなく、選ぶ時間を買ってもらえる場所にしたい」と尾上さん。
「中道通りで営業する他業種の方々とイベントができないかと話す機会も増えた。自分だけの成功でなく、地域の方々や店、お客さまに、ここでしか味わえない物、事、場所を体験してもらい、吉祥寺に来ることが楽しくなる店にしていきたい」と意気込みを見せる。
営業時間は13時~20時。