吉祥寺の井の頭通り沿いにあり、放牧や牛が自由に歩き回れる牛舎で生産した牛乳をスタンドで販売する「武蔵野デーリー CRAFT MILK STAND」(武蔵野市吉祥寺本町2、TEL 0422-22-0023)が6月11日で1周年を迎えた。
同所で3代続く牛乳店「武蔵野デーリー」が新業態として始めた同店。取締役で広告会社勤務を兼業する木村充慶さんは「きっかけはいろいろあるが、2021年に父親で店主の木村義之が事故に遭い、運転をしてほしくないと思ったこともその一つ」と話す。「外回りをせずとも店舗でなら働ける」と考え、10年ほど温めてきた「牧場主が放牧などこだわりの方法で作った少量生産の牛乳を『クラフトミルク』として吉祥寺で販売したらどうか」との思いを実現するタイミングが重なり、出店を決意。スタンドの運営と新商品開発を担う妻の長谷部望さんと3人で2022年にスタートした。
充慶さんが生まれ育った家にあったプレハブ冷蔵庫の場所を改装したスタンドで販売する牛乳は、季節に合わせて月ごとに変えて3~4種類を用意する。サイズはMカップ(コールド400円、 ホット450円)、Lカップ(同500円、同 ホット550円)、3種飲み比べセット(700円)、3時間かけて抽出するミルク出しコーヒー(同600円、同650円)、20~30種を試行錯誤して選んだ熊本産イチゴを使うイチゴミルク(700円)など。他に北海道「ありがとう牧場」の放牧ソフトアイス(400円)など。犬用のグラスフェッド(牧草飼育)ヤギミルク(600円)も用意する。
1年を振り返り「スタンドなので冬や雨の日の販売には苦労があるが、ミルクが好きの方々や毎週のようにきていただける方などたくさんのお客さまに支えられている」と充慶さん。「自分たちとしては普通の牛乳とは別に、牧場ごとにこだわりを持って作られた『クラフトミルク』というカテゴリーの牛乳もあるということを伝えているが、まだ世の中に認知されていない。『クラフトビール』のように生産過程のストーリーや味覚の違いを知って、日常に『高品質な』牛乳を味わってもらえたら」とも。
訪問した牧場は150箇所以上。販売する牛乳は共に牧場を見て回った望さんが「お客さまが飲んだ時においしいとびっくりする味」と最終的に決めたものを提供する。6月に販売している牛乳は、「放牧をしているため、栄養価の高い草を食べた牛からの青々した味」で、ラインナップは幸せな牛のミルク(牧場タカラ、北海道喜茂別町)、八丈島ジャージー牛乳(八丈島乳業、八丈島)、山地酪農牛乳(南国斉藤牧場、高知県南国市)。
営業時間は9時~17時(日曜は16時まで)。月曜~木曜定休。