
吉祥寺の吉祥寺第一ホテル裏に八女(やめ)の抹茶と季節のフルーツを使った菓子を提供するカフェ「SUZU MATCHA(スズマッチャ)(武蔵野市吉祥寺本町2、TEL 0422-27-6059)がオープンして、10月5日で半年がたった。
「SUZU MATCHA(スズマッチャ)」で使う村井大介さん作の器と八女の抹茶
日替わりのコーヒースタンドを展開する「カフェトリエ」で土曜・日曜に営業する同店。店主の斉藤正直さんは、「八女のお茶農家が実家で、お茶が大好きだから始めた」。「お茶に興味がない人にお茶のことを広く伝えたい」と「入り口に抹茶を選んだ」という。
「吉祥寺は客層が広く、見どころがあり、街ブラできる。住まいが吉祥寺で妻の実家もあるため、子育てしながらできる」と出店場所を吉祥寺に決めた。
飲食店経営は未経験のため、営業は金曜・土曜に既存のカフェを間借りすると決め、吉祥寺のカフェ「COFFEE TALK(コーヒートーク)」に飛び込みで相談したら、「カフェトリエ」を紹介されたという。斉藤さんは「オーナーとカフェ運営への考え方などに肌感覚が近かったため、すぐに採用され、オープンが決まった。出会えた運もある」と振り返る。
店名の「スズ」には、「心に涼しい風を吹かせたい」の「スズ」、「心に響き渡る」お鈴(おりん)の「スズ」の意味があるという。「風」という言葉には、「将来への不安や人からの評価に悩む嵐のように荒れた心に涼風を提供したい」という思いを込めた。
店舗面積は約30平方メートル。入り口横にカウンター席2席、奥にテーブル1卓4席を備える。
お茶は、実家から星野村の抹茶や栽培して加工した煎茶を中心に数種類を直接、仕入れる。抹茶わんや湯飲みには、「水の流れや山々など季節の移ろいを感じてほしい」と自ら選んだ愛知県瀬戸で活動する村井大介さんの作品を使う。
メニューは、ナッツのような香ばしさの「八女抹茶ラテ」(福岡・八女、ホット・アイス)、 「霧島抹茶と夏みかんのソーダ」(鹿児島・霧島、以上750円)。鉄瓶で沸かした湯でいれる「お抹茶」(福岡・八女、ホット・アイス、濃いめ80ミリリットル・あっさり120ミリリットル650円)など。
他には斉藤さんの父が栽培する八女茶の深蒸し煎茶「さえみどりブレンド」(福岡・八女、ホット・アイス)、店主の気まぐれ茶(以上650円)、玉露ほうじ茶(福岡・八女、ホット・アイス600円)など。
菓子は斉藤さんが出合って決めたという三鷹の「菫花堂(きんかどう)」とコラボしたものを提供。季節のフルーツを求肥(ぎゅうひ)に卵白を加えて白く練り上げた半雪平(はんせっぺい)と餡(あん)で包んだ「フルーツ雪もち」(500~600円)、季節のフルーツをマスカルポーネチーズとともに挟んだ「フルーツマスカルポーネどら焼き」(600~700円)など。
オープンから半年。「リピーターが増えてきた」と斉藤さん。「いずれ独立し、茶道の持つ世界観を取り入れ、茶文化の入り口になる店を作りたい」と夢は広がる。
「店は茶室のように囲われた場所だが、日本人が持つ原風景の里山を感じてもらえたら。都会へ八女から涼風と心の安寧(あんねい)」を届けたい。職場でも自宅でもない『第三の居場所』として、気負わず心を休めにフラッと立ち寄ってもらえたら」と来店を呼びかける。
営業時間は11時~19時(金曜は17時まで)。