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「パルコブックセンター吉祥寺店」閉店 最終トークイベントに漫画家・江口寿史さん

自身の本棚が使われたポスターを前に思い出を語る江口寿史さん(中央)

自身の本棚が使われたポスターを前に思い出を語る江口寿史さん(中央)

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 吉祥寺パルコ(武蔵野市吉祥寺本町1)地下2階で営業していた書店「パルコブックセンター」が7月29日に閉店し、38年の歴史に幕を閉じた。最終イベントとして漫画家、江口寿史さんによるトーク&サイン会が開催された。

贈呈された「パルコブックセンター」のロゴ入りエプロンをつける江口さん

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 1980(昭和55)年にオープンした同店は、その後、新所沢、調布、名古屋などのパルコに出店したパルコブックセンターの1号店。1993年、渋谷パルコへの出店を機に、アーティスト、日比野克彦さんがデザインを手掛けるオレンジ色のCI(コーポレートアイデンティティ)に一新した。

 同じく書店チェーンを展開するリブロ(豊島区)と経営統合後、「リブロ吉祥寺店」としてリニューアルしたが、2013年「バルコブックセンター」の名前が復活し再リニューアル。地元にゆかりのある本を並べたコーナー「吉祥寺スタイル」なども造られた。

 トークショーでは、長年同グループの運営に関わってきた現パルコデジタルマーケティング取締役の佐藤愼哉さんが聞き手となり、同店や吉祥寺パルコにまつわる思い出を語った。江口さんは「吉祥寺に仕事場を構えてから、漫画家同士横のつながりができた。画材店も入っていたし、パルコができてどれだけうれしかったか。若者の街というイメージに拍車もかかったように思う」と話した。

 同店でサイン会も7、8回行ってきた江口さん。佐藤さんは「270人が参加し4時間半かかったことも。先生が書店で行ったサイン会では最長」と話すと、江口さんも「自分がここで一番サインしているかも。最近は、70年代に『週刊少年ジャンプ』に連載していた作品などを読んでいた父親世代に教わって見てくれるようになった若いファンも来てくれてうれしい」と話した。

 2002年のリニューアル時に、江口さんの仕事場の本棚を撮影し全面に使ったポスターは佐藤さんが依頼したもので、市内の至るところに掲出され話題になった。「バスの中などあちこちに貼られていて、ちょっと恥ずかしくて急いで家に帰った思い出も」と江口さん。

 江口さんは、2015年以降に描いた最新イラスト150点以上を初収録した「step」と、女子高生やOLなど美少女16人のイラストを塗り絵で楽しめる「江口寿史の美少女塗り絵」(ともに河出書房新社)を4月に発売。イベント参加者から「移り変わるその時々のファッションは何を参考にしているか」との質問が出ると、「ファッションは着こなし。吉祥寺の街を歩いている人たちを見ていると、今の着こなしが分かる」と話した。

 21時の閉店時には、レジ前に集まったイベント参加者や同店のファンに、店長とスタッフが並んで感謝の気持ちを伝えつつ、「また、この街にいつか戻ってこられたら」と締めくくった。

 同店跡には、冬に5スクリーンを有するミニシアター「アップリンク吉祥寺パルコ」がオープンする予定。

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