小倉百人一首を題材に描いたイラスト展「MOMOSHIKI~いなだゆかりの空飛ぶ百人一首~花の巻」が現在、武蔵境駅北口の複合施設「QuOLa(クオラ)」(武蔵野市境1、TEL 0422-47-0109)のギャラリーで開かれている。ギャラリーA~Cのほか、階段や2階・授乳室にも展示する。
「MOMOSHIKI」は百人一首最後の和歌「百敷(ももしき)や 古(ふる)き軒端(のきば)の しのぶにも 猶(なほ)あまりある 昔(むかし)なりけり」(順徳院)から、「空飛ぶ」は「昔のものが時代を超えて現代に引き継がれていることや発想が時空を超えることへの思いを込めて」付けた。
作者でデザイナー・アートディレクターのいなだゆかりさんは1989(平成1)年、多摩美術大学大学院美術研究科修了後、1990(平成2)年、フリーのグラフィックデザイナーとして活動を始め、広告デザインなど手がける制作会社を創業し、2015(平成27)年に法人化した。
「百人一首の和歌は最初、色紙に書かれ小倉山の別荘のふすまを飾るインテリアだったが、書道の手本やかるたとなり、現在は競技かるたとして楽しまれている。世界に類を見ないポエムに面白みを感じ、『百人一首』を作品のテーマにしようと決めた」と話す。
1996(平成8)年に描き始め、1999(平成11)年ごろ、渋谷区内のギャラリーで初の個展を開催。枚数を増やしながら100首のイラストを描き上げた2009(平成21)年、同ギャラリーで個展を開催。「いったん描き終えたが、ライフワークとして時代に合わせて描き続けている」という。
イラストは「和歌の意味を現代の言葉に解釈し直し、自分ならこう話すと言い換えた言葉から浮かんだイメージや風景を描く」という。「奈良の都も現代なら東京だろうと場所を置き換えることもある」とも。
クオラでの展示は2019年5月からで、毎年1回、いなださんが決めたテーマ「聖夜」「風の巻」などに合う作品を展示してきた。今回は6回目で「花」をテーマに四季の風景を選んだ。
ギャラリーAでは、「いにしへの 奈良(なら)の都(みやこ)の 八重桜(やへざくら) けふ九重(ここのへ)に 匂(にほ)ひぬるかな」(伊勢大輔)など小品12点、ギャラリーB・Cでは、「花(はな)の色(いろ)は 移(うつ)りにけりな いたづらに わが身(み)世(よ)にふる ながめせしまに」(小野小町)など8点を展示。小品は5,000円、ギャラリーB・Cの木製額付きは2万2,000円で販売する。
「百人一首を現代の視点で描いた作品を、ぜひ見てほしい。気軽に立ち寄ってもらえたら」と来場を呼びかける。
展示時間は8時~21時。入場無料。3月31日まで。