旅に関する本を集めた書店「街々書林(まちまちしょりん)」(武蔵野市吉祥寺本町3)が6月7日、吉祥寺・中道通りにオープンした。
店主の小柳淳さんは鉄道会社勤務を経て、旅行業、ホテル業に会社員として長年携わる傍ら、1997(平成9)年より旅行作家としても活躍。2020年から「BOOKSHOP TRAVELLER」(世田谷区)内の「ひと箱書店」で書店の経営を学び、今回の開業に踏み切った。小柳さんは「ネットは便利だが、自分の興味にどんどん狭まってしまうことも。リアルに本に出合い、自分が探していた隣の棚で意外にいい本に気が付く。そういう場を作りたかった」とリアル書店への思いを話す。
約1400冊の旅にまつわる本は全て小柳さんが選書した。「自分の好きな本から、趣味に偏りすぎないように上下左右に広げて選書する」というラインアップは、国内外の文化、歴史、地理、民俗などの専門書から、漫画、ガイドブック、絵本などの目で見て楽しむ本まで幅広い。旅に欠かせない言語習得にNHK語学テキスト、旅のイメージを膨らませる時刻表などの雑誌もそろえる。
雑貨コーナーにはポストカード、ノート、スケッチブック、4色ボールペン、カラー筆ペンなど、旅先で執筆とスケッチを欠かさない小柳さんこだわりのアイテムを並べる。59平方メートルの店内は白を基調とした明るい雰囲気に仕上げた。壁には小柳さんが世界各地の旅先で入手した都市の地図を飾り、旅の雰囲気を演出。ギャラリースペースも併設し、写真展や絵画展、作家のトークショーなどを開いていく予定。
小柳さんは「旅をしているとき以外にも旅は楽しめる。それは、いつかどこかへの旅を読むこと。旅先のことを知ったうえで旅に出る、旅が終わったら旅先への知識を深める。『旅先への興味と敬意』がこの店のコンセプト」と話す。12時34分という開店時間については、「11時か12時か13時か、分からなくなる。覚えやすいと思って」と、遊び心も忘れない。「吉祥寺のお客さまには、人文系の書籍が好きな方が多いと感じている。本との出合いを楽しみに来てほしい」と来店を呼びかける。
営業時間は12時34分~18時。月曜・火曜定休。年末年始などは休み。