東京・多摩エリアを中心に、創業支援やまちづくりに取り組む「タウンキッチン」(小金井市)が12月15日、空き家の利活用の促進を目指した新たなサービス「空き家管理サポート」の提供を始めた。
同社は2018(平成30)年から、東京都が手掛ける「起業家による空き家活用モデル事業」のコーディネーターに採択され、約400件の不動産相談に対応し、起業家と空き家のマッチングを行ってきた。空き家をリノベーションしてシェアキッチンをプロデュースするほか、働き方について考えるウェブメディア「リンジン」を展開し、多摩地域の起業家をはじめとしたさまざまな人を紹介しながら、空き家の物件紹介や利活用の啓発にも取り組んでいる。
同社の三浦美穂さんは「放置すれば治安悪化や倒壊などの恐れがある空き家は、地域課題の一つになっている。事業を展開する中でも、空き家オーナーや親族から『遠方に住んでいて手入れできない』『管理方法が分からない』など悩む声があり、これまでの経験を生かし、活用コンサルティングも含めた空き家の管理サポートサービスを提供できたらと考えた」と話す。
JR中央線東小金井駅付近の高架下にある、140人以上の起業家が集まる創業支援施設群「ヒガコインキュベーション」を中心に、自転車で10分以内(半径2.5キロ圏内)をモデルエリアとして設定し、同サービスを始める。
屋外から室内まで点検するスタンダードプラン(月額3,850円)と、屋外のみ点検するライトプラン(月額3,300円)の2種類を用意する。空き家の前に同社を管理者とした看板を設置し窓口となるほか、不動産専門スタッフが建物の損傷、庭木の越境状況、郵便受けなどを点検。毎月メールで、写真付きの報告書を送付する。スタンダードプランは、雨漏りやカビ、通水や通気など屋内点検も行う。共に空き家の特徴を生かした利活用のための助言を行うほか、リノベーションやサブリースなどの相談にも応じる。
三浦さんは「起業家のオフィスや店舗、住居として空き家利活用の可能性が大きく広がる地域。近隣エリアの課題解決につながれば」と期待を込める。