吉祥寺の末広通りで季節の野菜を使った総菜をテークアウトのみで販売する「しまねこ軒」(武蔵野市吉祥寺南町2、TEL 0422-44-0380)が12月12日で12周年を迎えた。
1カップとミニカップに入った惣菜。左がドライフルーツクリームチーズ、右が季節野菜の漬物
店主の三森愛さんが実家の善福寺から自転車で行ける西荻か吉祥寺に店を持ちたいと探していたとき、貸店舗の貼り紙に偶然目にし、2008(平成20)年にオープンを決めた同店。3年は続けるつもりで始めたが、結婚を経て、「生活の一部として一人で普通に続けてきたら12年たった」と三森さんはほほ笑む。「一人でも料理や接客に対応できる形態を考えてきたから続いたのかも」とも。
営業は「工夫しても思うようにいかない。気負いを持たずに変えて、やっての繰り返し」を重ねてきた。今年2月、8坪の店舗をリニューアル。オープンの時もそうしたように、今回も自分で図面を引いた。イートインを廃して待ち合いスペースを設け、店内はドリンクのみとする形を整えた。
毎日販売する定番の総菜は、「厚焼きオムレツ」(1切れ220円、半切れ120円)、「人参(ニンジン)サラダ」(1カップ270円、ミニカップ200円)、「あんずとレーズン入りのドライフルーツクリームチーズ」(同550円、同280円)だが、「できるだけ無農薬の野菜を仕入れ、その日の気持ちで作る」日常的な家庭のおかずをショーケースに並べる。「季節野菜のおかかマヨネーズ和え」(同280円、同190円)、「鶏肉と季節野菜の炒めもの」(同430円、同270円)、「季節野菜の漬物」(同270円、同180円)など。総菜に入る季節野菜はそれぞれに変わる。価格は「グラム売り」ではなく、「カップ売り」。おかずの種類が葉物か肉などによって重量は異なるが、1カップ(約100グラム)かミニカップ(約60グラム)で販売。2カップ、3カップも可能。おかずセットと麦入りごはんを組み合わせた数量限定の弁当も用意する。それぞれS=480円+100円、M=700円+150円、L=900円+200円。ドリンクは紅茶、黒烏龍茶(250円)、レモルネード(290円)、ココア(350円)など。
「お客さまは近所の方。女性が多いが、年齢は男女共に偏りはない」と三森さん。オープンからテークアウトがメインだったため、コロナの影響は受けずに済んだ。「緊急事態宣言中は逆に昼間の予約注文が増え過ぎて、対応にてんてこ舞いだった」と振り返る。
三森さんが自分の意思で始めた店。12年も続けられた原動力は「営業の大変さを乗り越えて、自分の好きなことができる楽しさと自由さ。何より達成感を感じられること」と穏やかに話す。店の形はまだ発展の途上で、自分が思い描く店作りを模索中だという。「これからもおつまみではなく、ご飯のおかずを買いに近所の人が来てくれる店であり続けたい」と三森さん。「そのためにも自分自身がもう少し余裕を持てるように工夫を続ける」と意気込みを見せる。
営業時間は11時45分~14時、16時30分~19時(土曜・日曜・祝日は11時45分~18時の通し営業)。品切れの際は早じまいの場合あり。水曜定休。不定休はカレンダーで提示。ホームページでも確認できる。