複数のアーティストによるレジデンスプログラム「吉祥寺からっぽの劇場祭」が7月23日から開催される。主催する「吉祥寺シアター」(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-22-0911)の再開企画第2弾で、一部プログラムを除き、同シアターなどから原則無観客・無料映像配信する。
コンサート企画、SNS連動型のダンスパフォーマンスのほか、インスタレーション、同シアターの開館15周年を振り返るアーカイブ企画など、幅広いプログラムをそろえる。チーフ・キュレーターの綾門優季さんは「空っぽでもなお魅力的な空間である同シアターを、どれだけ思う存分使い倒すことができるかという一風変わった祭り。これを契機として新しい魅力を知ってもらえたら」と話す。
メインプログラムとして8月8日20時~、「Play from someone(nice sound!)」と題したコンサート(ライブ配信)を行う。同劇場祭に関わるアーティストや舞台美術家、制作、テクニカルスタッフの一部が出演し、音楽家・額田大志さんと相談しながら楽曲を作曲。「仕事で身に付けた技能や個人の持つ特技などを音楽へと変換し、演奏する」(担当者)。
「(in) visible voice-目にみえない、みえる声たち-」は、ツイッターのハッシュタグを利用して観客の声を集め上演するダンスパフォーマンス。コンセプトと演出は山下恵実さんが手掛け、俳優、ダンサー、詩人、アーティストらが実験、試作し上演する。7月26日ほか全5日実施。
7月24日~8月9日に行われる「シアター・マテリアル/黒い箱を預ける[山]」は、同シアターの備品である「箱馬」を東京郊外の山に移送。山中に分散配置し、配置場所から「箱馬」と同じボリュームの自然を抽出して持ち帰り、劇場内に再配置するインスタレーション。コンセプトと演出を手掛ける福井裕孝さんが全ての過程にリモートで参加する。
「奈落暮らし」は綾門さん自身が劇場の奈落に居を構え、連日生活する企画。7月23日~8月9日の実施期間中、開催プログラムのレビューや劇場祭で起きたことを随時記録し特設ページに公開する。過去の上演作品映像を鑑賞し、同シアター15年分のアーカイブレビューも執筆する。
そのほか、非日常の同シアターを巡る「からっぽの劇場ツアー」、同ツアー参加者だけが、その場所でしか聴けない音の感覚を体感する「19 Voices」などのプログラムなども予定する。
担当者は「会期中、当シアター内は地下の奈落から屋上まで、美術家・渡邊織音さん、渡辺瑞帆さんの手によって通常時とは異なる空間設計に彩られる予定。コロナ禍に直面した演劇、アーティスト、劇場の現在を見つめ直すオンライン・シンポジウムも予定している。新しい劇場の姿を皆さまに体感していただけたら」と呼び掛ける。
8月9日まで。