明治、大正期に生まれた人たちの「語り」から、道具の使い方や暮らしの移り変わりを知る企画展「古老が語る、武蔵野のくらし」が現在、「武蔵野ふるさと歴史館」(武蔵野市境5、TEL 0422-53-1811)で開催されている。
古老の音声から、道具がどのように使われていたか暮らしぶりと合わせて聞くことができる
2014年に開館した同館は、歴史的価値を有する資料を収集保管したり、調査、研究したりする博物館機能に、歴史公文書を選別、保存、公開する公文書館機能を併せ持つ。武蔵野市が1962(昭和37)年から開始した市史編さんと共に、地域の歴史や文化を守り、次世代へと引き継ぐことを目的にしている。
足でペダルを踏んで扉を開閉する電気冷蔵庫、室内用のアンテナが付いたテレビ、脱水を手動のローラーで行うローラー式洗濯機など、昭和30年代に「三種の神器」と呼ばれた家電製品が並ぶ。ほかに大八車や製茶道具、石油ランプなども。
展示する道具は実際にかつて市内で使われていたもので、寄贈を受ける際に「誰が、いつ、どのようにして使っていたのか」を調査、録音した古老の音声も会場で聞くことができる。
展示の企画と図録の執筆・編集を担当した波田尚大さんは「古老たちの話を録音し保存した大量のカセットテープには、いわゆる標準語とは異なる言葉遣い、『武蔵野のことば』がそのまま残されている。物を見ただけでは分からない使い方や暮らし方を、身近な人の語りから知ってもらえたら」と話す。
同様のテーマを学校で学ぶ小学生の来館も多く、波田さんによると「生まれていない昔の時代の物を初めて見た」「昔の冷蔵庫の中を見ることができて良かった」などの反響があったという。ほかに「大人が見ても楽しめる展示。古老の語りの中に、残されている紙資料からは読み取れない貴重な武蔵野の姿が見て取れることに感動した」(20代)、「昔の様子が知れるというのは何か豊かになれる気がする。子どもの頃に見たと懐かしく思った」(60代)などの声も寄せられた。
開館時間は9時30分~17時。金曜・祝日休館。入場無料。4月25日まで。