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吉祥寺に南三陸の味「旨揚亭」-宮城・雄勝町出身の店主が出店

「旨揚亭」の店内の様子

「旨揚亭」の店内の様子

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 吉祥寺の吉祥寺通り沿いに南三陸の郷土料理や串揚げを提供する「旨揚亭(うまあげてい)」(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-27-1650)がオープンして約1カ月が過ぎた。

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 東日本大震災の11日前に生まれ故郷の宮城県雄勝町に帰郷し、勤務先の石巻市で被災した笹浩幸さんが昨年12月に出店した。店舗面積は18.9坪、席数はテーブル=16席、カウンター=8席の計24席。南三陸の復興を支援する「復興食堂」として、地元の旬の食材を生かした料理と串揚げを提供する。串揚げ料理は、串揚げに「秘伝のたれ」を塗って味付けした「旨(うま)揚げ」と、オリジナルソースやゆずポン酢などで味わう「串揚げ」の2種類の味を用意する。

 雄勝町出身の笹さんは20歳で上京して以来、東京や静岡などで飲食業に携わってきた。母親と同居するため、2010年暮れに石巻市内のホテルの厨房の仕事を見つけ、昨年2月28日に帰郷、3月9日に住民票を移した矢先の被災だった。実家は高台にあるため津波の被害には遭わなかったが、職を失った笹さんは4月に都内に避難。浜松町のホテルで約4カ月間を過ごし、夏以降は高井戸(杉並区)の都営住宅で生活している。

 震災3日後には「地元で復興食堂を経営したい」と構想を練り始めたが、現地は「災害危険区域」のため新築できず、4月に上京し、知人などのつてもあって出店にこぎ着けた。主なメニューは、「旨揚げ」「串揚げ」(2串280円~)、「北海道むかわ町沖の本シシャモ」(520円)、「妙高ゆきえびのエビアボマヨ」(580円)、「肉とキャベツの仙台辛みそ炒め」(680円)、「ふわとろ卵のアツアツ旨揚煮」(680円)など。そのほか、南三陸から届く旬の品々を日替わりで用意する。オープン記念として、「おふくろの味定食」(ランチタイム)や旨揚げか串揚げの7種盛り合わせなどをサービス価格で提供している。

 アルコール類の注文客には「南三陸白八寸」をお通しとして550円で提供。八寸(約24センチ)の白い皿に南三陸のおふくろの味である「ひじき煮」や「三陸昆布の茎煮」「高政の揚げかま」など4~5種類の小皿を載せる。実家の近所の人たちや笹さんの母親の手作りのものもあり、文字通り「おふくろの味」。単品で大きめの小鉢で注文もできる(各450円)。売り上げの一部は地元の消防団に寄付している。

 実家のある集落は大きな漁港ではないが、震災前は自家用車同様に自家用漁船を所有する家が多かったという。笹さんは「船さえあれば天然のアワビやウニ、コンブ、ワカメなどを収穫できる。故郷に船を贈れるくらい、ここで頑張らねば」と気合を入れる。

 営業時間は、ランチタイム=11時30分~14時30分(日曜・祝日休み)、夜の部=17時~23時。

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