漫画家・楳図かずおさんが手がけた横断幕が現在、吉祥寺サンロード商店街（武蔵野市吉祥寺本町）にお目見えしている。

楳図さんのイラストをデザインしたオリジナルTシャツ

　夏と冬の2回、吉祥寺にゆかりある漫画家らが手がけることで知られる横断幕は、同商店街の風物詩にもなっている。27日から展開する「サンロード2023サマースクラッチセール」に合わせて掲出した。昨年あしらったのは、夏、冬共60周年を迎えたタツノコプロ（武蔵野市）が手がける「ハクション大魔王」などのキャラクターだった。

　吉祥寺を拠点に活動する楳図さんは1936（昭和11）年和歌山県高野山生まれで、現在86歳。小学4年生で漫画を描き始め、高校3年生の時に単行本「別世界」「森の兄妹」を出版しデビューした。タレント、歌手、映画監督としての肩書きも持つ。2018（平成30）年に「わたしは真悟」で仏・アングレーム国際漫画祭「遺産賞」を受賞するほか、今年6月には「ホラー、SF、ギャグと幅広い分野でのマンガ文化への貢献」と昨年、27年ぶりに発表した新作「ZOKU－SHINGO」に対し「第27回手塚治虫文化賞」（朝日新聞社主催）特別賞を受賞した。

　横断幕には、これまで発表してきた作品の中から「美しく憂いを感じる女性キャラクター」をテーマに、「おろち」「洗礼」「わたしは真悟」に登場する女性をあしらった。フラッグには代表作の一つ「まことちゃん」がコックなどさまざまなキャラクターに扮（ふん）したイラストをデザインする。

　同商店街振興組合事務局長の水野健造さんは「『へび女』『猫目小僧』『漂流教室』など数々のヒット作を生み出し、ホラー漫画の神様といわれる一方、『まことちゃん』でギャグの才能も発揮。作中のギャグ『グワシ』は社会現象にもなった。楳図さんのトレードマークである赤と白の縞々ボーダーが彩るアーケードで楳図かずおワールドを楽しんでもらえたら」と話す。

　スクラッチセールの景品の一つ「ラッキー賞」には、楳図さんの描く女性キャクラーをデザインしたオリジナルTシャツ100枚を用意する。

　横断幕の掲出は8月10日まで。