写真家・大石芳野さんの写真展「瞳の奥に ー戦争があるー」が10月16日、「武蔵野市立吉祥寺美術館」(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-22-0385)で始まった。
「ジャン」(アフガニスタン、2003年) ©Yoshino Oishi
武蔵野市にはかつて、零式戦闘機のエンジンなどを製造する「中島飛行機武蔵野製作所」があり、1944(昭和19)年11月24日、市内は同工場を標的にした空襲にあった。2011(平成23)年、市はこの日を「武蔵野市平和の日」と定め、未来の子どもたちに平和な世界を継承していくことを目指し、戦争の悲惨さ、平和の大切さを発信するなどの平和事業を行ってきた。今年は平和の日条例制定から10周年に当たり、記念事業の一環として同市と武蔵野文化事業団、武蔵野市非核都市宣言平和事業実行委員会が共同で同展を主催する。
大石さんは、戦禍や内乱などの状況下にある人々、土着の文化や風土を大切にしながら生きる人々を主なテーマに活動。土門拳賞を受けた写真集「ベトナム 凛と」「沖縄に活きる」などを刊行している。
3部構成の第1部では「戦禍に苦しむ世界の子どもたち…瞳に映るメッセージ」と題し、ベトナム、ラオス、カンボジア、アフガニスタン、コソボ、スーダン、それぞれの地域で撮影したモノクロプリント39点を展示する。
第2部は「戦禍のなかの少年少女時代…いまなお続く戦争体験者の悲しみ」で、第二次世界大戦の犠牲者、被爆者を訪れ取材を続けてきた大石さんが東京、沖縄、広島、長崎で撮影した25点を並べる。第3部の「あの頃みんな子どもだった…武蔵野市の7人の瞳」は、大石さんが今回同市内に住む戦争体験者7人へ行った取材から構成する。
大石さんは「一人ひとりの心の奥の一端でも伝えたいから撮影はモノクロームにした。白黒写真にはなじみがないという人もいるかもしれないが、ぜひ色彩をそぎ落とした白黒写真の奥深くに分け入って、一点一点じっくりと向き合ってもらいたい。必ずや写っている人たちとの心の対話ができるだろうと思う」と話す。
開催時間は10時~19時30分。入館料は、一般=300円、小学生以下・65歳以上・障がい者無料。11月23日・24日の「武蔵野市平和の日」は武蔵野市在住者無料(要身分証)。11月28日まで(10月27日・11月25日休館)。