吉祥寺でよく知られているスポットやモノなど街の魅力、「あるあるネタ」をテーマにした「吉祥寺かるた」を地元のデザイン会社「クラウドボックス」(武蔵野市吉祥寺本町)が企画製作した。
吉祥寺駅前にある「はな子の銅像」前に立つ徳永健さん(左)と中西功さん(右)
「あ」の絵札には吉祥寺駅前を歩く人々が描かれ、読み札には「赤いシマシマみっけ!」の文字と共に「楳図かずおさん出現率高し」の小見出しと解説が付く。「い」は「いせやのお兄さん息できてるの?」で、市内の老舗焼き鳥店「いせや総本店」の様子が描かれている。
2009(平成21)年に市内に拠点を移して以来、「吉祥寺のデザイン会社」をキャッチコピーに掲げる社長の徳永健さんは「基本的に依頼を受けてデザインすることが多いが、自分たちからものづくりができたらと考える中で『吉祥寺に何かお返しできるもの』が作りたいと考えた」と振り返る。
「自分たちの仕事は、誰かが届けたい思いを受け取り、相手に届く形にして届ける『ラブレターの代筆屋』のようなものだと考えている。吉祥寺に向けてのこの10年間の愛と感謝を届けられたらと思った」とも。
かるたにしたきっかけは、市内にあるシェア書店、レンタルスペースなどを有する「ブックマンション」で9月に行った「ご当地かるたイベント」だったという。「当社スタッフに聞いた、地元の人なら誰でも知っている群馬県の『上毛かるた』をはじめ、ご当地かるたを集めて遊んだら反響も大きかった。言葉や風習などをユニークに描いた沖縄のかるたは楽しんで作っている感じが伝わってきて、吉祥寺らしいかるたが作れたらと決めた」と徳永さん。
「吉祥寺のみんなで作り、吉祥寺の場を盛り上げられたら」と広くSNSで募集した中から、徳永さんが読み札を決定した。当初から協力する「ブックマンション」の中西功さんは、「一人のクリエーターが作品として作ったかるたも多いが、ユーザー参加型のスタイルは当店と同様、地域の熱量を上げるフォーマット」と話す。「今は遠方にいるが昔住んでいたなど、吉祥寺と関わりを持つ方々から3週間で300近くの読み札が集まった。新たな発見や面白いものが多く、逆にラブレターを自分たちが受け取ったようだった」と徳永さん。
来年1月4日には「コピス」B館3階で同かるたを使った「吉祥寺かるた大会」も行う。開催時間は11時~、13時~、15時~。参加無料。
「吉祥寺らしさを考えた時に、クリエーターが集まっている街の雰囲気や、楽しんでいる人たちがいるという街のユニークな熱量を発信できたらと思った。社内のスタッフが描いた絵札には『隠しネタ』もたくさん描かれているので、地元の人はもちろん吉祥寺のことを知らない人にも遊びながら楽しんでもらえるのでは」と期待を込める。
価格は1,500円。ウェブサイト「ぺろきち商店」で販売する。