武蔵野市立吉祥寺美術館(武蔵野市吉祥寺本町1)で現在、「福田利之展|吉祥寺の森」が開催されている。
《吉祥寺の森-Ⅱ》(2018) ©2018 TOSHIYUKI FUKUDA
大阪出身の福田さんは、さまざまな媒体でイラストレーションの仕事を始め1993年に独立し、2005年から吉祥寺を拠点に活動する。「ほぼ日刊イトイ新聞」で人気のあるコンテンツや、4人組のロックバンド「Spitz(スピッツ)」のアートワークを手掛けるほか、装画、雑誌の挿絵、絵本、文房具や食器、菓子のパッケージ、各種ブランドのロゴなど多岐にわたりイラストを手掛ける。
アクリルガッシュやコラージュを組み合わせて描いた原画に加え「フォト絵」や、書籍、CDジャケット、線描画、ラフスケッチなど約350点を展示する。学芸員の布施道さんは「かわいく寂しげで色気があり、特有の毒も少量含まれたような雰囲気が感じられる福田さんの、素晴らしい作品を紹介したいと思い企画した。市立美術館として『地域にゆかりのある方』も大事なキーワード。吉祥寺を拠点に活躍する作家としてあまり取り上げられていなかった福田さんの作品世界に触れてもらえる機会とも考えた」と話す。
同展のために特別に描き下ろした連作も展示する。「吉祥寺近辺で日々生活を営まれている福田さんのフィルターを通して描かれた、夜と昼の顔を見せる2つの『森』のような作品。一つは当館のポスターに、もう一つは当館がある商業施設『コピス吉祥寺』のポスターに使っている」と布施さん。
「コピス吉祥寺」とのコラボは開館以来初の試みで、ポスター原画のコラボのほか、スタンプラリーも開催。併せて5月3日にはふれあいデッキこもれびで、福田さんがCDジャケット手掛けたミュージシャン山田稔明さんと近藤研二さんによるライブを、5日は吉祥寺庭園soraで、福田さんと「ほぼ日」の山下哲さん、「ロカリテ」の山田愛さんによるコーヒーイベントも予定する。
布施さんは「近隣に住む福田さんの知り合いの方も一緒に地元を盛り上げようと参加してくださっている。井の頭恩賜公園など緑豊かな武蔵野市のイメージや、施設名が意味する『小さな森』にちなみ同展のタイトルにも『森』という言葉を選んだ。展示を中心に、街全体が一つの森のようにつながって、より広がりができれば」と話す。
開館時間は10時~19時30分。入館料は、大人=300円、中高生=100円(小学生以下・65歳以上・障がい者は無料)。5月20日まで(4月25日休館)。