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吉祥寺美術館で記憶と記録にまつわる2つの展示 ゾウの「はな子」記録集も

青野文昭展会場風景《水源をめぐるある集落の物語:東京-吉祥寺・井の頭AD2017~BC15000》2017年 撮影:山中慎太郎

青野文昭展会場風景《水源をめぐるある集落の物語:東京-吉祥寺・井の頭AD2017~BC15000》2017年 撮影:山中慎太郎

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 武蔵野市立吉祥寺美術館(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-22-0385)で現在、企画展「コンサベーション_ピース ここからむこうへ」が開催されている。

記録集「はな子のいる風景」表紙イメージ

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 同展は企画展示室での青野文昭さんの作品展と、アーカイブプロジェクト・AHA![Archive for Human Activities/人類の営みのためのアーカイブ]による新規プロジェクト「はな子のいる風景」の2つから構成される。

 仙台出身で同地に在住する青野さんは1990年から「修復」をテーマに、身近な場所で拾った、捨てられたり壊されたりしたものの断片を使って作品を制作してきた。自身も被災した東日本大震災後は、津波で破壊された被災物も取り入れてきた。

 学芸員の大内曜さんは「2016年に『カンバセーション_ピース:かたちを(た)もたない記録』展を開催し、物質的なものだけではない、形のないものを使って記憶を立ち上げていく試みを行った。今回は物を残すこと、残された物や記憶にどう向き合うかを造形的に考えられたらと企画した」と話す。

 「形として見せてくれるような作家の方を探す中、青野さんと出会った。祖母が吉祥寺に暮らしていたという縁ある吉祥寺周辺地域を、実際に見て回ったり石など拾ったりしながら、約1年かけて生まれた新作も展示する」とも。

 「はな子のいる風景」も昨年の展示がきっかけとなり、同館で「はな子」と一緒に写った写真を募集してきた。「1950(昭和25)年代のものから昨年まで各年代の写真が集まった。『はな子』との写真があるはずとアルバムをめくる中で、懐かしい写真と向き合ったという声も多く寄せられた」と大内さん。

 記録集には、集めた写真と写真提供者へのインタビュー、飼育日記、写真以外の日記やアルバムのメモ、新聞記事などの私的、公的な記録などをまとめた。「集積した記憶の断片には、読み手の記憶や想像が加わることでまた新たな記憶へと更新されていく。記憶を残すことや失うことについてこの機会に改めて考えてもらえたら」と来館を呼び掛ける。

 「はな子のいる風景」に併せ、JR吉祥寺駅南北自由通路(はなこみち)と、井の頭自然文化園彫刻館でも、関連した写真の一部をそれぞれ展示する。

 開館時間は10時~19時30分。入館料は、大人=300円、中高生=100円(小学生以下・65歳以上・障がい者は無料)。10月15日まで(9月27日は休館)。記録集は2,000円(税別)。

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