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吉祥寺のギャラリーで若手作家3人展-ガラス鋳造や古本の立体作品など

「『on the border』―境界線上のリアル―内田有+益永梢子+尾崎風歩 三人展」

「『on the border』―境界線上のリアル―内田有+益永梢子+尾崎風歩 三人展」

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 吉祥寺の「ギャラリー ・フェイス トゥ フェイス」(武蔵野市吉祥寺南町1、TEL 0422-70-0885)で9月8日より、ガラス鋳造作品、本を使ったオブジェ、写真コラージュのグループ展「『on the border』-境界線上のリアル-内田有+益永梢子+尾崎風歩 三人展」が開催される。

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 内田有さんは1979(昭和54)年、東京生まれ。東京芸術大学院美術研究科工芸専攻ガラス造形研究室卒業。ガラスの「アイスキャンディーシリーズ」で、「時間」をテーマに作品を作っている。「作品は全て『時間と生命』がテーマ。生命のように移り行くものに美を感じるし、その中にはピークがある。今シリーズでは、溶け方の異なるそれぞれの作品で、そのピークで時を止めたいと思って作った」と話す。一方の「Cool It !(クール イット)」シリーズではアイス部分を白クマにし、一見かわいい白クマに、地球温暖化で絶滅の危機にある現代文明のアイコンとしての意味を持たせた。

 益永梢子さんは1980(昭和55)年大阪生まれ。成安造形短期大学造形芸術科洋画クラス卒業。古書の全ページを解体し、本から読み取ったイメージをオブジェとして視覚化し、再構築した作品を発表している。「『ものとして価値のある本だけが残っていくのではないか?』というのが、今回の作品を制作したモチベーション。本には装丁、文字組、書体、用紙などさまざまな『もの』としての魅力が備わっており、文章を『読む』だけのものではないと思う」と益永さん。展示作品は、ページをブロック折りという手法で折り、接着せずに組んでいるという。「『折る』ことで読みものとしての本の役目を終わらせ、活字を純粋な記号のボリュームとして再構成し、文章とは別の規則性で本を視覚化することは可能だろうかと考えて制作した」と話す。

 尾崎風歩さんは1985(昭和60)年埼玉県生まれ。多摩美術大学映像演劇学科卒業。同展の「風景庭園」シリーズでは、疑似自然としての庭園を、実在する場所や物を撮影した写真で構成した作品を発表する。「『実在するかのようでいて存在しない世界』『こちらの世界とは別の異空間』をコラージュという方法で表現した。さまざまな境界線上のこちら側とそちら側の事象に関心があり、そこをまたぐ多層の世界を意識して作品を作っている」と話す。

 「内田さんのガラスのアイスキャンディーにはユーモアとアイロニーを、益永さんの本のオブジェにはものとしての本の存在感と批評性を、尾崎さんのコラージュには不思議さと独自の美意識を感じる。どの作品にも現代性と多視点的な作家の知性を感じる」と同ギャラリー代表の山本清さん。

 「『on the border-境界線上のリアル-』というタイトルには、ある事象を違った視点から見るとどう見えるか? という意味を込めている。一見して楽しい、そしてよく見ると深い作品がそろったグループ展になった。ぜひ見ていただければ」とも。

 開催時間は12時~19時。今月10日・18日は休廊。今月23日まで。

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