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吉祥寺で写真展「津波が来た学校」-石巻のボランティアが開く

海岸から見た学区(中央奥が校舎) 撮影=松田隆夫

海岸から見た学区(中央奥が校舎) 撮影=松田隆夫

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 吉祥寺パルコ裏のレンガ館2階「あーとらんだむ吉祥寺」(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-21-4467)で9月4日より、被災した宮城県石巻の湊小学校の現状を伝える写真展「津波が来た学校」が開催される。

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 武蔵野市民で元高校教師の松田隆夫さん(65)は、震災で安否不明の小学校時代の友人・松村さんを探すため震災10日後に石巻に入る。幸い松村さんは無事だったが、自宅は傾き、写真店を営む関係で、被災した学校の卒業式・入学式の写真撮影、そして被災犠牲者の遺影の作成に追われていた。旧友との感動の再会後、松田さんは現地で震災ボランティアに加わり、避難所となっている「湊小学校」の佐々木校長と出会う。

 小学校が2000人の避難所として使われていて、学校が再開できない窮状を知る。「家族の生活のために子どもたちが犠牲になっている複雑な構造の中で、関係者は苦しんでいた」と松田さん。校長に申し出て、学校再開のための支援を始める。休校を余儀なくされていたが、2キロ離れた「住吉中学校」の空き教室を間借りして、5月9日より新学期を再開することに。津波で破壊されゴーストタウンとなった湊地区から、3台の大型バスを使った登下校が始まる。全てのコースには職員が付き添い、時間に追われ、いつしか子どもたち、職員たちに疲労が蓄積されていく。

 本格的に学校を支援する必要があると感じた松田さんは、東京の友人に呼び掛け7月初旬にボランティア団体「石巻・湊小学校を応援する東京の会(通称=東京サポート)」を立ち上げる。その後メンバーは現地に入り、子どもたちと遊び、学びながら接し、学校資料の回復・支援物資の整理に追われる教職員の業務支援などの活動を始める。メンバーは松田さんの友人・知人から派生し構成する14人ほど。教育関係者、介護関係者など、松田さんと同年代の方や大学生も含まれる。

 「湊小学校の避難所で、無断で被災者を撮影するカメラマンが多い中、自分からはカメラを向けない不思議な写真家、加藤さんがいた」と松田さん。「写真を撮ってほしい」という被災者からのリクエストがあれば撮影し、無料でプリントを提供する。この写真が好評となり注文は増えていったという。

 「万全な応援態勢が組めずにいたし、この活動もまだまだ知られていない。ギャラリーのオーナーから『撮影した写真を展示したらどうか』と提案してもらい、校長先生の了承も得て写真展が実現した」と話す。同ギャラリーはこの活動に賛同し、会場を無償で提供。石巻の松村写真館、加藤昌人写真事務所、東京サポートの3者のコラボレーションで企画し、約200点の写真を展示する。

 「避難所となった小学校の現状と、年配者のわれわれでもできるボランティアがあるということを知っていただきたい」とメンバーの岩野さん。「長期化する被災地の復興支援に必ずつながるはず」とも。

 開場時間は11時30分~18時30分。同9日まで。

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