吉祥寺東町のコーポラティブハウス「tradica(トラディカ)」(武蔵野市吉祥寺東町1)が竣工し、オープンハウスとして公開する8月20日、一日限りの美術展「ほんのりよくなるくらし」が開催される。
コーポラティブハウスは、入居希望者たちが自主的に「土地取得」から「設計者・建築業者の手配」までを協力して取り組む共同住宅。土地の取得・価格設定など専門的な知識を必要とするため、設計会社などがサポートするケースも多い。同物件は、建築設計事務所「ゼロワンオフィス」(目黒区)がネット上で住宅需要者を募り、設計・工事監理・管理運営までをトータルにサポートしたもの。
100年にわたり受け継がれてきた土地を地主が提供し、施主と設計者により自由に設計された11戸の住戸が生まれた。吹き抜けに木を植えた住戸、自転車のメンテナンススペースをとった広い土間のある住戸、古材の建具や木彫りのレリーフを組み込んだ住戸、壁一面に植栽をレイアウトした住戸など、11戸全ての設計・デザインが異なる。
企画から2年弱をかけて完成したコーポラティブハウス。施主に引き渡される1週間前に、オープンハウスを実施する。地主の親族が計画地にアトリエを構えていた縁もあり、各住戸をギャラリーに見立てた一日だけの美術館を開く。
展示するのは、計画地の親族で医師でもあった画家の宮田重雄さん(1971年没)の絵画作品、国内外で精力的に活動するアート写真を制作する4人組みのレーベル「photta-lot」の作品、同計画で建て替えの際に取り壊された建物や庭の写真を撮影した写真家・森まきさんの作品など。ほかにも書、家具、器など作家やショップ8組が参加する。
「新転地で新しく生活をスタートする施主と、その街の人たちがコミュニケーションを図る場を、イベントという形で実現した。コーポラに興味がある、展示に興味がある、いろいろなきっかけで建築や吉祥寺の街の良さを発見し、『ほんのりよくなる暮らし』のお手伝いができれば」とゼロワンオフィスのスタッフ、菅さん。
開催時間は10時~18時。入場無料(要予約)。オープンハウスへの参加には事前予約が必要(予約締め切りは今月19日17時まで)。予約は同展ホームページで受け付ける。