吉祥寺の絵本専門店「トムズボックス」（武蔵野市吉祥寺本町2、TEL 0422-23-0868）は現在、「細井克郎作品展」を行っている。

　1961年に生まれの細井克郎さんは、武蔵野美術大学彫刻科を卒業。イラストレーターで、グラフィックデザイナーの宇野亜喜良さんも注目する画家で、「アート偏愛」（光文社文庫）の扉絵を手がけた。

　同展では、鉛筆で描かれた細密画30点を展示する。同店オーナーの土井章史さんが細井さんにオファーしてから、約2年の制作期間を経て開催にこぎ着けた。20年以上前の作品も公開し、細井さんを紹介する内容となっている。「細井さんはルーペ越しに作品を描いている。店内に置いてあるルーペを通して鉛筆の細かなタッチを見てほしい」（同店スタッフ）。

　宇野さんは「時々、名前がその人となりにピタリと当てはまることがある。『細井克郎』の創作も、そんな感じである。ルーペを使用し鉛筆を『細』くとがらせて微『細』な画面をつづり上げる。描き上げた絵の『細』部が、別の作品で転生・変異・繁殖を無限に繰り返す。彼の絵は限りなくファナティックでマニエリスティックなのである。その絵画世界は現実宇宙を超『克』し、新たな宇宙を作り上げる創造者のような至福に満ちている」とコメントを寄せる。

　土井さんは「宇野さんが言うように『新たな宇宙を作り上げる創造者のような至福に満ちている』絵で小さな平面空間だが壮大。一見の価値がある」と話す。

　営業時間は11時～20時（最終日は18時まで）。木曜定休。今月28日まで。