ビル一棟に、書店やコーヒースタンド、レンタルスペースなどを備えた「ブックマンション」(武蔵野市吉祥寺本町2)が東急裏エリアにオープンして1カ月がたった。洋食店「シャポー・ルージュ」跡。
代金をおいてレバーを引くと、からくりが動いて支払いが完了。常設展示としても楽しめる鈴木完吾さんによる作品
同施設を手掛ける中西功さんは2013(平成25)年、同市内に2坪の無人古書店「BOOK ROAD」(西久保2)をオープンし運営してきた。今回の開業ついて「IT企業出身なこともあり、ネットのプラットフォーム作りと実店舗は実は似ていると感じた。空いていた物件を見て、何か面白いことができるのではと思った。ビルを『スマホ』と捉え、基本スペック以外はフィックスさせず、ここを使うお客さんのニーズに合わせてフィットするものを、アプリを入れていくように選んでいくことで、人が楽しく集まれる場所を作れたらと考えた」と話す。
地下1階から地上3階まで4フロアあることから、新たに「吉祥寺×4ビル(バツヨンビル)」と名付け、各階にさまざまな機能を展開する。メインとなる地下1階の書店は広さ32平方メートルで、店内の両側に設けた78個の棚を借りたい人がシェアし、各自売りたい本を並べて販売する。「それぞれにテーマを持った個性的な借り手による本棚になっている。オープンからさまざまな方が来店してくださり、本と人、人と人との出会いがたくさん生まれている」と中西さん。
書籍を500円以上購入すると、店内の機械で綿菓子を作ることもできる。ほかにも「実店舗ならではの、ここでしかできない体験をしてもらいたい」と、1階のコーヒースタンド(近日中にオープン予定)には、レジの代わりに鈴木完吾さんが制作する2000ピースから成る「からくり決済」装置を配置する。「鈴木さんの作品を見てどうしても置きたいと制作をお願いした。早さや便利さとは違った、支払うのが楽しくなるような、コーヒーを待つ時間も楽しめるような工夫ができたら」と中西さん。
キッチン設備を設けた2階と3階はレンタルスペースで、ワークショップなどに利用できる。「以前の飲食店の雰囲気を残してほしいという声も多かった」と言い、2階は喫茶としても使えるよう11席分のテーブルや椅子を置く。
「発信基地として、ここで得たノウハウを伝え日本中に書店が増えたら。ちょうど良い規模を生かし、今後イベントなども予定している。スモールコミュニティーの醸成の場として活用される場になれれば」と期待を込める。
営業時間は11時~19時。月曜・火曜定休。