三鷹市山本有三記念館(三鷹市下連雀2、TEL 0422-42-6233)で現在、開館20周年を記念した企画展「銀幕の有三文学」が開催されている。
同展は、小説家・山本有三の作品から映画化されたものを取り上げ、さまざまな資料を基に作品に描かれたドラマ性に光を当てる。「人はいかに生きるべきか」を創作のテーマとして描き続けた有三は長編小説を6つ残し、そのうち「真実一路」など5作品が映画化された。中でも「路傍の石」は1938(昭和13)年の1作目から1964(昭和39)年までに4回、さまざまな監督と俳優により繰り返し映画化された。
「もともと劇作家としてデビューし、舞台化された戯曲作品は登場人物も多くなくセリフも分かりやすい。新聞小説が多く日々読み応えのある場面展開を書き続けた有三作品は、ドラマ性に富み映画の原作に向いていたのでは」と学芸員の三浦さん。
展示室には、映画史研究家・畑三郎さんがコレクションした映画ポスターや劇場プログラム、スチール写真、昭和20~30年代の雑誌「キネマ旬報」などの資料と、同館が所蔵する「路傍の石」の直筆原稿などが並ぶほか、作品の初出となった雑誌や新聞も展示。「年配の方には懐かしいと楽しんでいただいている。『生きとし生けるもの』『波』などの古い作品は、小説のあらすじを併せて紹介。この機会になじみのなかった若い方にも知ってもらえたら」とも。
期間中の11月19日には三鷹市芸術文化センター(上連雀6)で、「路傍の石」(1964年)と「真実一路」(1954年)を特別上映(チケット完売)。12月11日は三鷹ネットワーク大学との共催で、畑さんによる講演会「映画と文学」も予定する。
「人を引き付けるような波瀾(はらん)万丈な物語も有三作品の持ち味。本人が所蔵していた映画写真や使っていたものなど、ゆかりの品も併せて展示。家族と暮らした建物自体も味わいながら、作品に触れてもらえたら」と三浦さんは来館を呼び掛ける。
開館時間は9時30分~17時。月曜(祝日の場合開館、翌日・翌々日休館)と12月29日~1月4日・10日・11日休館。入場料300円。2017年3月20日まで。