株式会社リクルート住まいカンパニーによる「2015年版 みんなが住みたい街ランキング 関東版」が発表され、今年も総合トップは吉祥寺となった。吉祥寺が総合1位となるのは同社の調査開始以来4年連続。
調査対象は関東圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 、茨城県)在住の20~49歳の男女総計3,000人。吉祥寺の得点は去年の得点を70点上回る426点。去年に引き続き2位となった恵比寿とは83点の差をつけてのトップとなった。(2014年得点差は47点。)
吉祥寺が住みたい街に選ばれた理由には、「都心へのアクセスが良好で自然も豊富」「カフェや雑貨屋が多い」といった従来の魅力に加え、「駅前の発展が著しくこれからの成長が楽しみ」等が今年は新たにあげられている。
今年も吉祥寺がトップになった要因について、SUUMO編集長の池本氏は、「新しい話題によって新たな吉祥寺認知層が現れたからと考える。具体的には、『吉祥寺駅南北自由通路』(4月)や『キラリナ京王吉祥寺』(4月)といった駅前の再開発。加えて、都内最大規模の『ユニクロ吉祥寺店』(10月)や『ヤマダ電機LABI吉祥寺』(10月)といった商業施設も相次いでオープンした。昨年オープンしたこれらの施設には地域との共存という新しい視点が盛り込まれていた。キラリナはレストラン街を設けず、駅から街への回遊性が考えられている。ユニクロも吉祥寺在住の楳図かずお氏や近隣の店主らを広告に起用し話題を作った。チェーン店舗や大型商業施設はサンロードに代表される個性的な商店を起点とした平面に伸びる。」とコメント。
また、「吉祥寺の味を失わせるという意見もあるがそうとも限らない。ある価値観に絞るのはリスクでもある。今回ランキング圏外となっている下北沢などが好例だ。新しい商業施設は新しい客層を連れてくる。その人たちが吉祥寺に来て初めてその魅力に気づく。新規層の流入循環を止めないことが人気の街ランキングの上位を保つ秘訣かもしれない。」と見解を語った。
このような吉祥寺の現状に対し、吉祥寺ダイヤ街商店街の老舗和菓子店「小ざさ」の担当者は、「渋谷、中野地区の再開発もあり、吉祥寺が魅力なく埋もれてしまう事が心配。吉祥寺は物販(商品)、飲食、娯楽が程良く混じり合い、家族連れでも訪れる事が出来る街、特色ある店舗が多くある街であって欲しい。」と述べている。
そして、武蔵野市長の邑上守正氏は、「吉祥寺は、住んでみたい街としての高評価も続く中、 評価に負けない魅力あるまちづくりが必要であると考えている。 引き続き、 南口広場と周辺街区の整備、イースト吉祥寺エリア周辺街区の整備と、魅力ある土地利用誘導などに向け検討を進めるとともに、吉祥寺全体がより安心・安全で、回遊性のある歩いて楽しいまちを目指してまいりたい。」と今後の吉祥寺の開発について語っている。
吉祥寺活性化協議会の塚本真史会長は大型店舗の流入に関し、「吉祥寺ではすべて『ウェルカム』の姿勢を貫いている。よって、反対運動が起こったということはない。ただ、出店するからにはこの街のやり方に賛同し、『地元商店会』へ加入した上で、吉祥寺を盛り上げることをいとわない事業主であることが望ましい。」と指摘。
また、「(吉祥寺の現状は)新しい魅力の創出に役立っており、また新たな仲間が増えることを歓迎している。ただ、時代の流れでやむを得ずなくなっていく業種があり、その点については非常に残念なのは間違いない。今後の吉祥寺は市・地元商業者・住民・来街者といった『みなさん』の協同で作り上げていくべきであると考える。みなさんと連携を取りながら仲良くやっていくこと、今後の吉祥寺もこれに尽きる。」と今後の吉祥寺の在り方について示した。