吉祥寺の洋菓子店「patissurie A.K Labo」(武蔵野市吉祥寺本町4、TEL 0422-20-6117)で現在、「ともぞう本舗」の手染め手拭い展「出会い」が開催されている。
フランス焼き菓子やパンを中心に扱う同店の2階カフェスペースを利用して開かれている同展。「井の頭公園アートマーケッツ」「ハモニカ朝市」に出店するなど、吉祥寺を中心に活動するオリジナル手拭いブランド「ともぞう本舗」初の個展となる。
同ブランドを主宰する小松さんが手拭いの販売を始めたのは2009年のこと。「主人の勧めで日本文様検定を受けたことがあり、その際日本の古い文様について学び、文様の一つ一つに意味があることを知って興味を持ち、この文化を廃れさせたくないなと思っていた。その後、縁あって通ったワークショップの自由課題で主人に手拭いをプレゼントしたのがきっかけになった」と話す。
その後、落語家・五明樓玉の輔(ごめいろう・たまのすけ)さんの著書「噺家の手ぬぐい」(Do楽Books)に出合い、いろいろな趣向の手拭いを見る中で「自分が目指すのはしゃれが効いていて、見たらくすっと笑える物だと思った」という。
昔のおめでたい柄から縁起担ぎを意識してピックアップ後デザインを手掛け、一色ごとに型を作り、染料とのりを混ぜた色のりをヘラで押し付けて生地に一色ずつ浸透させる「手捺染(てなっせん)」という方法で製作。今回の展示では約30種類の手拭いを並べる。
柄にはそれぞれよく見ると一つだけ文様の違う物が加えられており、桃の柄では一つだけ桃太郎が飛び出し、蚊取り線香の柄では一つだけ火がともされているなど、同ブランドならではの遊び心をプラス。カフェの各テーブルには文様の縁起について書かれたキャプションを用意し、ティータイムを楽しみながら気軽に文様について知ることができる工夫もしている。
「今回、手拭いをもっと身近に感じてもらいたくて『出会い』という展示会名にした。手拭い一枚でブックカバーが作れたり、あずま袋にしてかばんになったり、いろいろ活用できることを知ってもらえたら」と小松さん。
同店店主の庄司さんは「ハモニカ朝市で知り合い、屋外販売だと広げて見る人も少なかったりして、もっとじっくり見てこそともぞうさんの面白さがあるのにもったいないと思っていた。手拭いが好きでいろいろ見るけれど、単色物が多くて正統派な感じが好み。歴史を踏まえた柄で制作されているので信頼して手に取れるし、粋な面白さもあって、私が望むものが全てそろっている。この機会がともぞうさんの手拭いを知っていただく出会いにつながれば」と話す。
開催時間は11時~19時。水曜定休。9月4日まで。