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日本人女性、ラオス少数民族と手織りの布作り-吉祥寺で仕事紹介展

「こんな人生を送るとは夢にも思わなかった。楽しいです」と話す谷由起子さん

「こんな人生を送るとは夢にも思わなかった。楽しいです」と話す谷由起子さん

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 吉祥寺の雑貨店「OUTBOUND(アウトバウンド)」(武蔵野市吉祥寺本町2、TEL0422-27-7720)で現在、企画展「H.P.E谷由起子の仕事 ラオス少数民族との布づくり」が開かれている。

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 ラオス北部ルアンナムターで、少数民族の人々の手仕事の技を背景に布づくりをしている谷由起子さん(48)の仕事を紹介する同展。黒タイ族のシルクのショールや反物、レンテン族の人々が着古して柔らかくなった衣服を解いて洗い、はぎ合わせた大判の布や赤ちゃん服のほか、傘工房「イイダ傘店」による、レンテン族の藍染めの木綿地を用いた日傘も展示・販売する。

 谷さんは1999年にラオス北部を初めて訪れ、田んぼが広がり高床式住居が点在する風景に「まるで弥生時代みたい」と仰天した。一方で、当時は電気もなく、木はのこぎりで切り、食事はほぼ自給自足、どの家庭でも織物を織っていた。「手と体と知恵を絞って、生きるために必要なことをやっている。こんな人たちがいるのか」と感銘を受けると同時に、その手作りの衣服に魅せられ、一緒にもの作りができないかと考えた。「彼らの生計に携わるには生半可な気持ちではいけない」と、塾講師の仕事を辞めて翌春ラオスを再訪。2002年には「H.P.E(Handicraft.Promotion.Enterprise)」を立ち上げ、現地の人と共に手紡ぎ・手織り・草木染による綿や絹の布製品を手掛けている。

 1年のうち9カ月ほどをルアンナムターで過ごし、現地の人の家で寝泊まりしている谷さん。当初は言葉が通じず、ラオス語の辞書を持参して指さしても字を読める人が少なく、一言を伝えるだけでも一苦労だったという。「綿花を育て、糸を作り、染めて織って縫う。全ての工程を自分たちの手でする。かつては世界中にあったはずの自家製の布づくり。プロの職人のような緻密さはないかもしれないが、その過程に思いをはせ、衣食住の原点を考えるきっかけになれば」

 12日19時30分からは、国立民族学博物館准教授の樫永真佐夫さんのお話会も予定。樫永さんが黒タイ族の人々の暮らしについて現地写真のスライドを交えて報告した後、谷さんと同店オーナーで昨年2月にH.P.Eの製作現場を訪れた小林和人さん、来場者も交えて話し合う。参加費は1,000円。予約は同店まで。

 営業時間は11時~19時。期間中、谷さんが来店する。11月14日まで。

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