井の頭自然文化園(武蔵野市御殿山1、TEL 0422-46-1100)で6月26日、講演会「野生動物を守るための獣医師の仕事」が開催される。
獣医師の仕事は、動物の治療以外にもさまざまな役割が存在する。その中で野生動物の保全につながる役割を、「動物園で働く獣医師」「開業獣医師の活動」の二つの側面から紹介し、それぞれの取り組みについて話す。
第1部は「動物園獣医師の関わり」と題し同園園長の成島悦雄さんが講演する。「動物園獣医師の患者は動物園で暮らす野生動物たち。野生動物とはいえ、野外から連れてこられた動物は少なく、多くは動物園や繁殖施設で生まれた動物たち。私たちは純粋な野生動物と区別して、動物園で飼育されている動物を『動物園動物』と呼ぶ。人に飼われる事に慣れている動物園動物だが、長い時間をかけて飼いならされた家畜と異なり、野生で生き抜く能力が高い半面、人との接触を好まない。病気に関するデータも少なく、健康管理も家畜と全く同じではない」と成島さん。
そこで、「動物園動物の健康管理を行うため、動物園獣医師はどのように動物と向き合い、どのような方法で診療に当たっているのか。診療で得られた経験を基に、野生生物の保全にどのように関われるのか。ささやかながら、私の動物園での経験を基に『これから』についてお話ししたい」という。
第2部は「開業獣医師の関わり」と題し東京都獣医師会野生動物対策委員の高橋恒彦さんが講演。「犬猫を主に診察している街の動物病院でも、野生動物との関わりがある。野生動物といえば山奥に住むクマやシカもそうだが、スズメやメジロも身近な野生動物。そんな動物が傷ついて保護されたとき、行政との連携により開業獣医師のもとへやってくる。そうした傷病鳥獣たちはどんな治療を受けるのか。その実際をお話しする」と高橋さん。そのほか、希少生物が多く住む小笠原諸島で、野生動物の脅威となっているネコを島外搬出し、開業獣医師のもとで本来の飼い猫に戻す取り組みも紹介する。
「『獣医師』をテーマにした講演会は今回が初めて。気軽に申し込んでほしい」と同園教育普及係の對馬さん。
開催時間は13時~15時45分。定員は60人(高校生以上)。参加にはメールまたは往復はがきでの応募が必要(6月10日消印有効)。応募多数の場合は抽選。申し込み方法・詳細は同園ホームページで確認できる。