
吉祥寺で起業家支援などを手がける「マネジメントブレーン」(武蔵野市吉祥寺本町2)がサポートする成蹊大学法学部北川ゼミの「起業家体験プログラム」で、同社会員から成る勉強会組織「先見研究会」が実務面で企画・運営を担当する「地域事業者プログラム」の1回目が5月21日に始まった。
先見研究会は、2023年4月、「身近な現場で起きている予測可能な未来について」をテーマに発足した。
「起業家体験プログラム」は、准教授だった北川徹さんが2008(平成20)年度に課題解決型学習の授業として開講。2、3年生が模擬的に株式会社を設立し、学園際の「欅(けやき)祭」に出店し、会社解散までを経験する。
2011(平成23)年に教授になった北川さんがカリフォルニア大学バークレー校ロースクール客員研究員を務めた2014~2015年度を除いて継続し、2025年度で通算16年。
同社は2023年度から関わる。
第1回のテーマは「リーンキャンバス(Lean Canvas)で事業計画作成」。フレームワーク「リーンキャンバス」を使い、スタートアップのビジネスモデルを可視化する。講師は特定行政書士、特定社会保険労務士の高谷桂子さん。
研究会メンバーの田内慎さんは「2023年8月、研究会で『これからの若者には経営者的視点が重要になる。大人は若者に向けて何ができるのか』と発表したとき、成蹊大学が『起業家』をテーマにゼミを実施していることを知った」という。「地域の大人として何か協力できないかと成蹊大学に連絡を取ったのが北川ゼミとの連携のきっかけ」と振り返る。
「昨年は初めて1年間、ゼミに伴走した。地域事業者がどのタイミングで、どのようにゼミ生をサポートするのが最適かを考えながら進めた。法学部のゼミなので起業の実務や専門知識、経験値の共有がゼミ本来の目的から乖離(かいり)しないか、ゼミ生の負担にならないかという点にも注意を払った」という。
「普段は学生と接する機会がほとんどないので距離感で戸惑うこともあったが、北川教授に何度も意見をもらいながら慎重に進めた」とも。
田内さんはゼミ生に、「お金を稼ぐ感覚を体得し、自分で企画し、価値を創造し、リスクを取り、利益を出す経営者の視点や失敗を恐れずに行動する力、法律と現実のビジネスの接点を意識することを学んでほしい」と期待を込める。
「私たちは吉祥寺という地域で日々、リアルな経営に向き合っている。 学生の皆さんの発想や行動が、地域に新しい風を吹き込み、地域と大学の新しい連携モデルを築いていきたい。地域の経営者も、皆さんと共に学び、成長するつもりで関わっていく」と決意を見せる。
3回目となる本年度、同研究会は、前期4回、後期5回の計9回の講義を提供する。