吉祥寺にある「ギャラリー・フェイス トゥ フェイス」(武蔵野市吉祥寺南町1)で3月20日から、画家の山本康嗣展『ー散歩道にてー』が開催される。
山本さんは、1975年福岡生まれの画家。福岡美術研究所にて美術全般を学び上京、井の頭公園で自作ポストカードの路上販売を開始。その後、メディア全般のイラストレーションを手掛けるようになり、2008年に画家になった。
「私は幼少期に喘息持ちであった。私の身体は汚れた空気と、澄み切った空気の違いを敏感に感じ取っていた。休日に山のふもとに行き、自然界にろ過された澄みきった空気を思いっきり吸い込むのが私にとって至福のひと時だった」と、同展覧会サイトで綴る山本さん。日常生活のふとした瞬間に感じる疑問・矛盾を、社会事象を織り交ぜて批評的に表現する山本さんは、自身の経験から、現代でも大きな問題となっている「大気汚染問題」をテーマにした作品を描くようになったという。
同展覧会では、春夏秋冬の四季の風景を題材にした新作10展を展示。普段の散歩中に出会う四季折々の美しい風景の手前に、「大気汚染物質の分子構造」が描かれているのが作品の特徴。心地良い風景を描きながら、同時にその中にある相反する現実をだまし絵のような手法で表現している。鑑賞者は、分子が付着した透明フィルター越しに風景を眺めているかのような不思議な視覚体験ができる。
3月29日まで開催。営業時間は、13時~20時。会期中は無休。