伊勢丹吉祥寺店(3月14日に閉店)が入居していた「吉祥寺エフエフビル」(武蔵野市吉祥寺本町1)の屋外スペースで3月20日~22日、屋外演奏イベント「バスキングin吉祥寺」が開催された。主催はバスキングジャパン。
バスキングは、ロンドン、ベルリン、ニューヨークなどの地下鉄や街頭で日常的に行われている自由演奏。これらの地域では、バスキングという文化を守るため、法や制度も整備され、市民も気に入った演奏にはチップで応える習慣が定着しているという。
「バスキングジャパン・プロジェクト」の一環として行われた同イベント。プロジェクトは、「街の中に『音楽との思わぬ出会い』を作りたい」とスタートした。演奏者の自発性を原則とし、歌わず楽器一つで勝負できる音楽家に限定する。さらに民間地の協力を得て、質の高いストリート文化の形成を目指すという。中央線沿線のライブハウスを拠点にしているミュージシャンが多かったこともあり、吉祥寺での開催に至った。
演奏家たちはステージでのライブと、自宅やスタジオなどで練習として演奏を行っているが、「それ以外で演奏する機会を作りたかった」とバスキングジャパンの戸田昌征さん。歌を禁じ、楽器演奏のみとした理由については、「社会の中では生の声の力は強すぎると思った。(歌は)演奏のいい悪いにかかわらず強制力がある。歌わないことで、地域の企業からも受け入れられるストリートミュージックとしてブランディングしていく」と話す。
イベントには延べ50人が出演し、テナーサックス、コンガ、スティールパン、サックス、コンガ、ブルースハープなどの楽器を奏でた。クラシック、ジャズ、ボサノバなどさまざまなジャンルのライブが行われ、多くの通行人が立ち止まり、大人はもちろん子どもも熱心に耳を傾けた。特に盛り上がりを見せたのは、ギターをタッピングなどの奏法で演奏する音更(おとふけ)Kentaさんとカホン奏者のライブ、アコーディオンを演奏する蛇腹姉妹、チェロ奏者の渡邉友則さんのライブ。
戸田さんは「皆さん素晴らしい演奏だった。こんなにクオリティーの高い演奏がストリートで聴けるのは、(通行人の人々にとって)驚きだったと思う」と話す。 「このライブで、楽器のみでも勝負できると実感した。今後、いろんな地域で行っていきたい」とも。
イベントで演奏したアーティスト30組が、本業の活動の合間に「バスキング演奏に協力する」とプロジェクトに賛同している。開催は10月までを予定。