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吉祥寺に「まちなか からくりベンチ」 展示器具に変形、都市空間の隙間生かす

「まちからベンチ」の展示器具形態で、ポップアップストアを展開する「コピティアム珈琲店」の橋谷知宏さん

「まちからベンチ」の展示器具形態で、ポップアップストアを展開する「コピティアム珈琲店」の橋谷知宏さん

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 「まちなか からくりベンチ(略称:まちからベンチ)」が商業施設コピス吉祥寺(武蔵野市吉祥寺本町1)B館角地に置かれて3カ月になる。開発・設置は武蔵野市開発公社。

「まちからベンチ」のベンチ形態時の様子

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 同社は武蔵野市の外郭団体で、「良きまちづくりに必要なことは何か」を考えながら、吉祥寺のまちづくりを進める都市再生推進法人。都市の豊かな生活シーンの創造を目指し、まちなかの空間を柔軟に使いこなすために同ベンチを開発し、所有する路地に面した屋外の狭小スペースに第1弾として設置した。

 普段は来街者などが自由に座ることができるベンチ形態だが、背もたれを引き出し上部に載せることで、容易に展示什器(=展示器具)の形に変えることができる。什器に形を変えたベンチは、屋外空間での商品販売や宣伝などのポップアップストアとして利用が可能。まちづくり課主任・西山徹さんは「以前からデッドスペースなど都市空間資源の活用方法を考えてきた。イベントなどで出店しようとすると都度、展示に用いる什器などを運搬しなければならないが、ベンチによる商いが可能な空間があれば負担も少なくなる。ベンチとして日常的に使えるので、憩いの場としての景観も保つことができるのではと、形態を模索してきた」と話す。

 6月11日には、インドネシア産コーヒー豆専門店のコピティアム珈琲店が出店した。2019年に創業し、今年からインターネットを通して販売を行っている。同店の橋谷知宏さんは「初めて実店舗にチャレンジしようと場所を探していたが、実際に見て人通りの多いこの場所に決めた」と話す。当日は、ネット販売では展開していない店舗限定の「ブルボン」(100g=1,200円)と、マンデリンやジャワなど4種類のコーヒー豆、「水出しコーヒーコールドブリューパック」2種類を並べた。

 橋谷さんは「什器形態は高低の段差がついて、商品を立体的に並べて見せることができ良いと感じた。店頭でしか扱わない限定商品を毎回変えながら定期的に出店し、現地の農園から直接仕入れたコーヒーを広く皆さんに知ってもらえるようになれば」と意気込みを見せる。次回は6月17日に出店する。

 ベンチに付けたロゴは、地域情報サイト「吉祥寺ファンページ」編集長の山岸学さんがデザイン。「まちなかにある一つ一つの要素が歯車となり、からくりのように街を変化させ、人の営みに合わせてまちなかの空間が使われることで、豊かで多様な街の表情が生みだされるイメージ」をモチーフにしたという。

 西山さんは「ベンチは現在、特許を出願している。ワンプレイス・マルチユースできるストリートファニチャーとして形を変えたり機能を追加したりすることでバリエーションも増やしていきたい。憩いの場が店になればまちに彩りも増し、まちの魅力づくりにも貢献できるのでは」と期待を寄せる。

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