知的障がいや身体障がいのある人が描くアート作品で駅をラッピングする「ステーションミュージアム吉祥寺」が現在、JR吉祥寺駅南北自由通路(はなこみち)で開催されている。
JR東日本スタートアップ(新宿区)と、SDGsなどを軸とした企画のブランディングやプロデュースを行うヘラルボニー(岩手県)が、各地で展開を予定する地域福祉連動型・社会貢献型実証実験の第1弾として取り組むもの。ヘラルボニーは、JR東日本グループの経営資源を活用して未来をつくる新たなビジネスやサービスを創出することにより、地域の一層の活性化と豊かな暮らしづくりに挑戦する「JR東日本スタートアッププログラム2019」の採択企業に選ばれた。
駅をラッピングするためのアート作品は昨年11月、武蔵野アール・ブリュット実行委員会、武蔵野市、武蔵野文化事業団が主催するアート展「武蔵野アール・ブリュット」参加メンバーのほか、5つの生活介護事業所を運営する「武蔵野」(武蔵野市)が協力し、2回にわたってワークショップを行い作成した。制作にはイラストレーターの小池アミイゴさんとクリエーティブチーム「Paper Parade」によるディレクションの下、地域在住の約50人が参加した。
JR東日本スタートアップの担当者は「これまでも障がいがある人のアート作品を展示する取り組みやイベントなど行われていたが、美術館や市など館内施設の展示では作品を見に行こうという目的意識のある方以外の目に触れる機会は限られるだろうと考えた。『駅』を展示場所にすれば、より多くの方が作品に触れ、新しい発見をしてもらえるのではないかと思った」と振り返る。
「候補地を選定する中で、武蔵野市では2017年から『武蔵野アール・ブリュット』が行われていた。同駅は1日15万人近い乗降客があり、地域の住民だけでなく、買い物や散策で訪れる方も多く通行する南北自由通路を装飾できないかと考えた」とも。
構内の吹き抜け部分と柱10本を装飾する。「装飾から間もなく1カ月近くになるが、通行する方や地域の方にも大変好評で、柱をバックに写真を撮影している方もいる。『武蔵野』にも賛同いただけたことに感謝している。今回のような取り組みが、多くの方の賛同をいただきながら他地域にも展開していければ」と期待を込める。
2月末までの予定。