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吉祥寺美術館で「柿本幸造の絵本の世界」 没後20年、初期作品から晩年までたどる

「学研子ども百科 第7巻 りくののりもの」(1965年、学研)

「学研子ども百科 第7巻 りくののりもの」(1965年、学研)

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 絵本の画家、柿本幸造が手掛けた作品の原画やラフスケッチなど約200点を展示する「柿本幸造の絵本の世界」が現在、武蔵野市立吉祥寺美術館(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-22-0385)で開催されている。

「どんくまさんそらをとぶ」 (1969年、至光社)文・蔵冨千鶴子 案・武市八十雄

 累計100万部を超える絵本「どうぞのいす」(ひさかたチャイルド)や、小学校の国語の教科書に1971(昭和46)年から掲載が続く「くじらぐも」(光村図書出版)の絵などで親しまれてきた柿本は、1915(大正4)年広島県生まれ。1998年に83歳で亡くなり今年で20年になる。

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 広島から上京後、広告関係の会社に就職した柿本は戦後、子どもを対象とした博覧会の企画などのほか、日産自動車の宣伝部の依頼でポスターやカタログ、カレンダーのイラストを担当したことがきっかけとなり、38歳で初めて絵本の挿絵を担当する。

 学芸員の布施道さんは「『どうぞのいす』など、柔らかでかわいらしい絵のイメージとはまた違った、初期の作品に注目した。知育を目的とした絵本や図録などはテーマも多岐にわたり、非常にデザイン性の高い画面構成や、精緻に描いた乗り物などを通して新たな魅力を伝えられたら」と話す。

 「月刊絵本のような配布絵本は単行本化されない場合も多く、原画でしか見られない挿絵も。今回ご遺族のご厚意で展示するものも含め、約80点を展示する」とも。

 1967(昭和42)年から1997年まで、1年に1冊のペースで刊行した「どんくまさん」シリーズ(至光社)、全26冊それぞれからの原画も展示。創業者で編集長の故・武市八十雄さんと編集者、故・蔵冨千鶴子さんの2人とライフワークのように制作を続けてきた同シリーズ。「30年にわたり、時代が移るにつれ少しずつ描写が変化していく様子を見ていただけるのでは。未完となった貴重な最晩年の作品も展示している」と布施さん。

 代表作の原画も展示するほか、ロビーには実際に座ることができる「どうぞのいす」を設置。10月28日には「三鷹まるごと絵本市」で朗読による関連イベントも予定する。

 布施さんは「実際に何度も足を運び、ついのすみかとなった鎌倉の自宅やアトリエで撮影した写真もパネルで紹介するほか、冊子も製作した。一枚の絵に人一倍時間をかけたという柿本さんの世界を楽しんでもらえたら」と呼び掛ける。

 開館時間は10時~19時30分。入館料は、大人=300円、中高生=100円、小学生以下・65歳以上・障がい者無料。11月11日まで(10月31日休館)。