バッグブランド「COAROO(コアルー)」(三鷹市井の頭5)が、吉祥寺の中道通りにショールームも兼ねた専門店「コアルーバッグ&吉祥寺」(武蔵野市吉祥寺本町2、TEL 0422-27-6328)をオープンして10カ月がたった。
同店はベルトの付け替えなしでショルダーからリュックになる「コアルーバッグ」を対面で販売する1号店で、昨年11月に開店。2010年11月に設立した同社は店舗を持たずネットでの販売が主で、対面販売はデパートや大型商業施設の一角で続けてきたが、「バックの使い方を実演などで見かけたお客さまが『実際に手に取って見たい』という声に応えて立ち上げた」と創業者で社長を務める韓国ソウル生まれの池成姫(チー・ソンヒ)さん。
店舗面積は6坪。店内にはA4ファイルが入る日常使いの「リブレネオ」(8,300円)やマザーズバックとしても使える大きめの「ビッグマルシェ」(9,200円)などの定番商品や歌手のAIさんとコラボし、テキスタイルにファッションブランド「tenbo(テンボ)」(吉祥寺本町2)の星迷彩柄を使ったオリジナルママバック(L=9,200円、S=8,800円)などの商品を陳列販売。ベルメゾンで採用されたマザーズバック(非売品)も展示する。開発者の池さんから直接バッグの掛け方を教えてもらったり、来店したユーザー同士の出会いが生まれたりするサロンのような役割も果たしている。「発信地があることで信用にもつながる」
コアルーバッグは、同社が特許を取得した「コアルーストラップ」というベルトの構造を使ったバックで、真ん中が動くスライド自由なコアルーパッド、広げると腕を入れられるループベルトが機能を支えている。掛け方は、ショルダー、三点掛けけのメッセンジャースタイル、リュック、前抱え、パッドが前になるリュックの5通り。掛け方で重さが分散され、「体への負担が軽減」され、体以外にベビーカーや椅子の背もたれ、車のシートなどに掛けても「安定感がある」という。
特許のヒントになったのは日本のたすきやおんぶひも。クロスに掛ける構造とシンプルな使い方は「日本人の誇りで仕組みとして後世に残したい」と感じ、子育て中にかばんの扱いに不便を感じたことがバックを考案するきっかけになった。「パッドやベルトはあくまでも技術。コアルーはブランド。これらを進化させ、バックなどに反映させたさまざまな開発が進んでいる」と池さん。
2児の母でもある池さんは今も最前に立って営業をこなす。「商売としては歩みがゆっくりだが、創業時に描いた『この技術は強い』という思いから軸がぶれないから成長する手を止めないで進んでこられた。吉祥寺は緑があり、ゆったりしていて柔軟な街で多様性がある。魅力を一言で表せないところがコアルーの提案する考え方と一致している。ここから吉祥寺発の世界ブランドを作りたい。それが会社を育ててもらった地域への恩返し」と話す。「ショルダーバック、リックサックというジャンルで分けるのではなく、コアルーバッグという新しいカテゴリーを作りたい」とも。
5通りの掛け方、その機能を伝えるには路面に自社の販売スペースを持つことが必要だと考え、「実験的に12月から毎月1週間限定で中道通りの貸店舗に店を開く。コアルーらしい仕掛けを提供するので、店に来てバッグを試してもらえたら」と来店を呼び掛ける。
営業時間10時~18時。火曜定休。貸店舗は12月17日~20日に営業。