吉祥寺のサンロード通りにワイングラスで日本酒を提供する日本酒バーを併設した酒販店「未来日本酒店Kichijoji」(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-27-1377)がオープンして1カ月たった。
同店は未来酒店(渋谷区)が「蔵元の造り手が持つ醸造への熱い気持ちと日本酒のかっこよさを伝え、それを楽しむSAKEセレクトショップ」をコンセプトに経営する「未来型」の酒屋。吉祥寺への出店は代官山に続いて2店目となる。
酒の仕入れには全て関わるという店長の坂本一浩さんは「酒屋の店内で立ち飲みする『角打ち』は昔からあったが、それを未来型に発展させ、『未来日本酒バー』というとスタイルを提供している。お酒を飲み始めた若い層が日本酒の味と不幸な出会いをする前にいろいろな蔵元の酒を味わってみる。20代前半の女性がシャンパンのようにスタイリッシュな味わいの日本酒があることを知る場所として情報を発信していきたい」と話す。
カウンター席は6席。10人程度のスタンディングスペースにテーブル1卓。システムは120種類以上の日本酒を1本の販売価格に限らずワイングラス1杯480円(税別)で提供する。
自分好みの味を見つけられない客は、AI(人工知能)が好きな味覚を判定する「YUMMY SAKE」を利用できる。10種類の酒をブラインドティスティングし、スマホで5段階評価をすると好みの味を判定するもの。味覚のタイプは「オノマトペ」で名付けた「Kurun Kurun(クルンクルン)石川県数馬酒造」「Kyun Kyun(キュンキュン)富山県髙澤酒造場」「Suru Suru(スルスル)山口県村重酒造」など12種類の中から提示する(税別2,000円、オノマトペ酒1杯付き)。
フードは酒かすみそポテトサラダ、軟骨入りジューシーつくね、日替わりでぼんじりポン酢(以上500円)など。はたはた唐揚げのつくだ煮や瀬戸内レモン味の鳥皮などつまみも棚に並べるが、注文すれば店内で食べることができる。
酒は知名度にこだわらず「未来志向」で取りそろえ、従来の「県名別」ではなく、仕込み方や醸造方法に分けて陳列したという。蔵元の土地で育った米と水や有機製法で造った「TERROIE & ORGANIC(テノワール&オーガニック)、瓶内発酵で二酸化炭素を発生させたものやその後、シャンパンと同じ製法で「おり」を抜いて色を透明にした「SPARKLING」、経年熟成の「VINTAGE&LUXURY」など。
店は吉祥寺駅から五日市街道まで北に延びる全長約300メートルのサンロードの終点付近に位置する。「五日市街道側からは吉祥寺近郊にある大学からの学生が、吉祥寺駅側からは帰宅する会社員などが行き交うので人の流れは切れない」と坂本さん。ベビーカーを押した夫婦など土日を含め1日平均300人ほどが来店するが、「地元に定着する酒屋を目指す」とも。
店頭では週末に酒造による試飲販売会を開催。8月4日・5日=富山県髙澤酒造場、11日・12日=新潟県妙高酒造、18日・19日=WAKAZE(OEM)、25日・26日=新潟県よしかわ杜氏の郷。
営業時間は14時~23時。