三鷹・武蔵野の都市農家を、ITを活用して応援するプロジェクト「まちなか農家」がスタートして1カ月がたった。
ウェブサイト「まちなか農家」やフェイスブック「まちなか農家ファン」などを使って、地域に根付いた生産者たちの情報を発信するほか、消費者の声を届けるなど双方の活発なコミュニケーションを通して地元の農家を応援していく試み。
運営はCode for Mitaka/Musashino。市民が主体となり、行政・地域課題を解決するためにITを活用し、コミュニティーを築こうとアメリカで始まった非営利団体「Code for America」の活動が世界に広がり、2012年に日本でも「Code for Japan」が立ち上がった。この活動に共感する同団体が今回のプロジェクトを企画した。
きっかけは、今年4月に三鷹市内で行われたトークセッション「市民×IT」。「観光や子育て、高齢化、防災などの地域課題を聞く中で、まず『農業』をテーマに何かできるのではないかと考えた」とスタッフの苔口さんは話す。
三鷹の若手農家へのヒアリングや消費者へのアンケートを実施し、課題として見えてきた「情報発信」の方法を考えた。「三鷹は東京で5番目に農家の多い街でありながら、駅前の店や住宅地と農地のある南側は離れていることもあり、地域の人が農家について知らないことも多かった」という。同サイトには、農家を継いだきっかけや生産者としての思い、生産物についてなど農家のインタビューを掲載し「見える農家」を目指した。「まちなか農家ファン」は、実際に三鷹の野菜を購入した人の声など情報が共有できる場になっている。
「都市計画法により三鷹の農地は減少傾向にあるが、景観や環境を守るほか、防災時の避難場所、食を通じてのコミュニティー活動など、街のなかで多面的な機能を持つ。今後は、会員制ファンクラブも立ち上げる予定。市内のレストランで地元の農産品が味わえたり、駅前で安心して野菜を購入できるようになったり、農家と消費者のつながりを深めていけたら」と意気込みを見せる。