吉祥寺駅周辺各所で現在、武蔵野市と富山県南砺市をつなぐ友好交流イベント「結ぶ祭」が開催されている。
武蔵野市は、南砺市(旧利賀村)と1972(昭和47)年から交流を始め、2007年、正式に友好都市として提携した。今年で2回目となる同イベントをプロデュースする近藤丈二さんは「友好都市といっても実際に何をしているのか分かりにくい。違う風土・文化の下で暮らす人が、互いに無いものを補い支え合う、離れた土地でも互いに気遣いができるような距離のイベントができないかと考えた」と話す。
6日まで吉祥寺パルコで行われたイベント前半は、特設会場に南砥で撮影された写真パネルが並んだ。写されたのは紙の色が1000年近く保つといわれる五箇山(ごかやま)地方の手すき和紙、城端(じょうはな)地区の絹織物や一大生産地としてプロ野球選手にも多く使われてきた木製バットなど、ものづくりの現場。ほかに20年以上の歴史を持ち、アフリカや南米などからミュージシャンが訪れるワールドミュージック・フェスティバル「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」の様子や、「利賀瞑想(めいそう)の郷」に常設された4メートル四方の曼荼羅などの写真もあり、南砺に伝わる文化や物、人を伝えている。
会場では、江戸時代より彫師が多く暮らす町「井波」の仏師・石原良定さんが、実際に井波彫刻を披露。日本茶アーティスト茂木雅世さんは南砺で採れる野草を使ったお茶を振る舞った。「お茶は『山を切り取って乾燥させたものをお湯で戻す』ことで、風景まで思い出させてくれる。知らない人も野草茶を飲んで南砺を思い浮かべてもらえたら」と茂木さん。
13日まで行われる後半は、吉祥寺駅周辺で雑貨や飲食などを扱う24店が、それぞれイベントを展開。南砺から仕入れた食材によるメニューを提供するほか、ゆかりの商品を販売。「少量でも芯のあるものづくりをしている生産者を吉祥寺の店に紹介。良さを知ってもらい仕入れなどの関係が生まれたり、それぞれの店のお客さまへ南砺の良さが派生したり、互いの顔が見える交流が広がれば」と近藤さんは抱負を語る。10日・11日には音楽イベント、13日には山菜採り名人を招いたワークショップも予定する。