吉祥寺の「patisserie A.K Labo(パティスリー エーケーラボ)」(武蔵野市吉祥寺中町3、TEL 0422-38-9727)が8月に発売した「武蔵野ジオサブレ」がじわじわと人気を集めており、最近では店頭に並べた分がその日に売り切れてしまうこともあるという。
武蔵野ジオサブレは「井の頭池」と「境浄水場」の2種類で、価格は1枚270円。約7センチ四方のサブレ表面には、中央に俯瞰(ふかん)図、左下に位置する緯度経度が一枚一枚刻印されている。
武蔵野地域にあるこの2つの象徴を選び、図版起こししからサブレに刻印するゴム印までデザインしたのが同店オーナーでシェフの庄司あかねさん。「境浄水場の浄化システムは極めて珍しいだけでなく、実は水は武蔵市民には供給されていない」というトリビアも。「(サブレ生地に)ゴム印を押し、全体に塗る卵の黄身をうまく井の頭池や境浄水場の形と経緯度の数字のへこみに落とし、俯瞰図を見えやすくしている」という。味でも、ライ麦粉、タヒチ産のバニラに塩を利かせ、発酵バターを用いて香りを出すという、フランスで修業してきた庄司さんならではのこだわりも。
同店は2003年3月、武蔵野市内に開店。その後、10周年を機に2013年9月に現在の場所へ移転。店内には生ケーキ、焼き菓子やパンなどが並ぶほか、イートインスペースもあり、地元の常連客が多いという。
もともと趣味で地図や暗渠(あんきょ)好きという庄司さん。縁あって近隣のまち歩きマップのイラストを担当したところ、地図作りと武蔵野の名物となる商品作りの話が結びつき、「武蔵野ジオサブレ」が生まれた。
「(フランス菓子店に)一部こういう商品があってもいいかもしれない」と笑う庄司さん。「武蔵野ジオサブレを発売してから、普段お菓子を手に取らない層の来店客が増え、地元以外からジオサブレを購入しにくる男性が多くなった」という。ラベルをあえてシンプルにし、裏面に図鑑の1ページのような説明文も記載した。「地図好きの人は意外と多いと実感した。このシリーズは第5弾までは増やす予定」とも。
営業時間は10時~19時。水曜と第1・第3木曜定休(12月のみ変則定休)。