「三鷹の森 ジブリ美術館」(三鷹市下連雀1、TEL 0570-055777)は現在、同館2階ギャラリーで特別展示「『動物農場展』~ハラス&バチュラーの仕事~」を開催している。
「動物農場」は、同美術館ライブラリーの最新作として日本で初公開される。「1984年」で知られるイギリス人作家のジョージ・オーウェルさんの原作。1950年代にヨーロッパで最大の影響力を誇った、伝説の英・アニメーションスタジオ「ハラス&バチュラー」が約半世紀前に映画化し公開された。
内容は、「農場主に虐げられてきた動物たちが、2匹の有能な豚をリーダーとして革命を起こす」「本作が暴きだすのは現代日本の姿」(同館)。過酷な労働条件、繰り返される支配構造など、「支配する者とされる者」を動物たちを通じて伝える。
同館のライブラリーは、世界のアニメーションをジブリ美術館がセレクトし広く紹介しており、これまでロシア映画「チェブラーシカ」や「雪の女王」などを公開・発表してきた。
同展では、作品紹介や製作当時のアートワーク、当時の製作風景がうかがえる写真などの資料を展示する。美術ボード(農場小屋設定)(7点)、スチール写真(44点)、キャラクター設定(9点)、初期段階の絵コンテ(7ページ分)、作画(3点)、色指定(1点)などの制作資料が並ぶ。「ゲド戦記」を手掛けた宮崎吾朗さんが企画・監修を担当。
館長の中島清文さんは「原作の『動物農場』は、支配と搾取、権力構造といった普遍的なテーマを扱った古典的名作。しかし昨今の世の中の情勢を見ていると、今も50年前も基本構造は少しも変わっていないと思わざるを得ない。作品本来の寓話として楽しめることはもちろんだが、世界的不況下の苦しいときだからこそ、この作品から歴史を知り、社会の仕組みを考えることも重要なのではないかと思う。ぜひこの機会に観賞し、何かを感じ考えてもらえたら」と話す。
入場料は、大人・大学生=1,000円、高校・中学生=700円、小学生=400円、幼児(4歳以上)=100円(日時指定・予約制-ローソンチケット)。開館時間は10時~18時。火曜定休。同展開催は来年1月(予定)まで。年末年始の休館日は12月29日~1月2日。
作品は渋谷シネマ・アンジェリカなど東京・大阪の4劇場で公開中。上映時間などの詳細はホームページで確認できる。