武蔵野市立吉祥寺美術館(武蔵野市吉祥寺本町1、TEL 0422-22-0385)で12月16日より、「土門拳写真展 日本のこころ」が開催される。
同展は、武蔵野市の友好都市・山形県酒田市にある「土門拳記念館」の協力を得て開催されるもので、同館が所蔵する約7万点の作品のなかから約120点を選び展示するもの。
故・土門拳(1909?1990)は1930年代より報道写真家として活躍、「風貌」シリーズや「古寺巡礼」シリーズなどで広く知られている。風貌シリーズは著名人の肖像写真郡で、小説家や芸術家が仕事場で見せる一瞬一瞬を写し出したもの。写真集としてまとめられた後も雑誌「太陽」で連載を続け、被写体は川端泰成や棟方志功など100人以上に上った。
古寺巡礼シリーズは、美術史家・水澤澄夫の案内で訪れた奈良県室生寺をきっかけに、約40年間にわたって日本各地の仏像や寺院を撮り続けたもの。古典の中から日本民族のバイタリティーを探り出そうと、脳いっ血で倒れた後も自由の効かない手でシャッターを押し続けたという。1960年には、筑豊の炭鉱に生きる人々の貧窮を伝えるため、誰でも買えるようにとザラ紙に印刷した写真集「筑豊のこどもたち」を100円で販売、10万部を売り上げた。
同展は、テーマ別に前期・後期に分けて開催、「女優と文化財」をテーマに斬新な写真を発表し続けた「婦人公論」誌も展示する。来年1月には講演会も予定。入場無料。2月11日まで。