吉祥寺の銭湯「弁天湯」(武蔵野市吉祥寺本町2)で「風呂の日」でもある2月26日、富士山の銭湯壁画をベスビオス火山に描き替える様子を公開する「ベスビオス火山壁画ライブペインティング」が行われた。
三多摩浴場組合連合会が銭湯の活性化のため、銭湯を検索できるiPhone用アプリ「東京秘湯」を開発。その公開記念として同アプリでタイアップしたコミック「テルマエ・ロマエ」(ヤマザキマリ著、エンターブレイン刊)にちなみ、ローマのベスビオス火山を描くライブペインティングのイベントが実現した。
司会進行はお笑い芸人のエレキコミック・やついいちろうさん。雑誌で銭湯を巡る連載を持つほどの銭湯好きという。解説には全国の銭湯3,000軒を訪ねた庶民文化研究家の町田忍さんが登場。銭湯は鎌倉時代から始まり、江戸時代に庶民の入浴場として定着したという歴史や、最初に神田猿楽町に銭湯壁画が描かれ、「実は子どもたちに喜んでもらうためだった」という逸話などを紹介。日本に2人しか残っていない銭湯絵師の中島盛夫さんが作業する中、粛々とイベントは進行した。
「古代ローマ落語」として落語家の昔昔亭A太郎さんが「寿限無」を古代ローマ風にアレンジして披露。ハドリアヌス皇帝やローマ神話の神々の名前を繰り返しまくし立てる落語に会場が沸く。演歌歌手の森山愛子さんは、「ローマの火山の前ですが日本の心、演歌を聞いてください」とこぶしを利かせた演歌を火山の壁画前でオリジナル、カバーの5曲を披露した。
恵比寿などでイタリアンレストランを経営する岡秀行さんは、「仔豚の詰め物の丸焼きソーセージ添え」「豚肉の赤ワイン煮込み」「テスタローリのバジリコソース」の古代ローマ料理を再現。銭湯入り口に設けたコーナーに用意し、200人の観客に振る舞った。
最後に中島さんが壁画にサインを入れ、完成とともに会場全員でコーヒー牛乳で乾杯。3月末までの期間限定で、「テルマエ・ロマエ銭湯」として特別営業する。