障害者就業支援を通じて“誰もが自分らしく生きる社会”を目指す株式会社スタートライン (本社:東京都三鷹市、代表取締役:西村賢治)は、民間企業で3年以上働く障害者を対象に『障害者の就労に関する実態調査』を2025年5月19日~20日に実施しましたので、調査結果をお知らせします。
▼調査トピックス
・働く障害者の8割強が仕事を「辞めたい」と感じたことがある
・仕事を辞めたい理由は「周囲の人から必要とされていないとき」が23%で最多
・仕事をしていて良かった理由は「自分の成果や貢献が認められたとき」が35%で最多
▼調査結果の詳細
1.仕事を「辞めたい」と感じたことのある人は8割強
民間企業で3年以上働く障害者に「あなたが職場で仕事を辞めたいと感じるのはどのような時か」を伺うと、「仕事を辞めたいと思ったことはない」が18%、すなわち82%が仕事を辞めたいと感じた経験をお持ちでした。その原因については「周囲の人から必要とされていないとき」が最多の回答となり、続いて「障害があることで自分らしく働ける環境ではないと気づくとき」「自分の障害特性を強みとして活かせていないとき」が上位の回答でした。
2.仕事をしていて良かった理由は「自分の成果や貢献が認められたとき」が35%で最多
民間企業で3年以上働く障害者が「仕事をしていて良かった」と感じる理由の上位は「自分の成果や貢献が認められたとき」(35%)、「障害があっても自分らしく働ける環境だと実感するとき」(30%)、「周囲の人から必要とされていると感じるとき」(27%)でした。
まとめ
500社以上の障害者雇用を支援してきた当社の障害者雇用エバンジェリストによるコメント
吉田 瑛史(株式会社スタートライン 障害者雇用エバンジェリスト)
パナソニックグループ、マイナビ、パーソルグループを経て株式会社スタートラインへ入社。 企業支援、障害者支援、人事、組織管理、業務開発、就労移行支援、研修/講師、 農福連携、マーケティング、エバンジェリストなど、多岐にわたる役割で、500社/5,000名 以上の障害者雇用に携わった経験を「障害者雇用」をより良くするために伝道する「障害者雇用エバンジェリスト」。
「法定雇用率達成」を優先目的にした結果「仕事を辞めたい」
アンケートで多くの障害者が「周囲から必要とされていない」から「仕事を辞めたい」と感じている要因は障害者雇用特有の課題が影響しているかもしれません。それは、企業が「法定雇用率達成」を優先するあまり、「業務がない」など課題を残したまま採用を進めてしまうことです。
法定雇用率の引き上げや行政指導など「法定雇用率達成」を優先したい背景は理解できますが、「業務がない」まま採用を優先すると障害者が働きがいや貢献感を感じづらい環境になるため、1年後の定着率64.7%(※)という早期退職の一つの大きな要因にもなっていると考えられます。
※厚生労働省『令和7年6月10日第6回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会』
では、何を優先目的に障害者雇用を推進すればよいのでしょうか?
障害者雇用の最重要指針は「価値創造」
障害者が「仕事をしていて良かった」と感じた理由第1位が「成果や貢献が認められたとき」とアンケートにあるように、障害者雇用の最重要指針は「価値創造」です。
企業が障害者雇用に取り組むことで社会的責任を果たすことはもちろんのこと、組織における多様性が高まったり、ブランドイメージが向上することは、企業の成長や発展につながる「企業価値」と言えます。
また、そうした企業価値を障害者にフィードバックすることは、「自分の役割がある」「社会に貢献できている」という実感に繋がります。これは働く人にとっての「やりがい」や「働きがい」となり「就労価値」だと考えます。
「企業価値」と「就労価値」の両方が実現されている状態は、障害の有無に関係なく、誰もが互いに尊重し支え合い、共に生きる共生社会=「社会価値」を体現しているのではないでしょうか。
障害者雇用で「企業価値」を創造するイメージが持てない企業もまだ多いかと思いますが、事業やブランディングへの貢献、組織や環境の改善などその価値は多岐にわたり、それを実現するための様々なマネジメント方法や公的・民間サービスも誕生しています。
障害者雇用は、企業のビジョンや事業計画とリンクさせた「価値創造」を目的に、計画や施策を策定・実行することが成功のカギとなります。
▼過去の調査はこちら
【実態調査】民間企業で3年以上働く障害者に聞いた!就活で感じた困難&本当に欲しかった支援とは?
<調査概要>
【調査対象】3年以上、民間企業の障害者雇用枠で障害者、男女106名
【調査方法】IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー(R)?」の企画によるインターネット調査
【調査期間】2025年5月19日~20日
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株式会社スタートライン
ABA(応用行動分析)やCBS(文脈的行動科学)、第三世代の認知行動療法に基づいた効果的で専門的な支援で、障害者雇用の新しい「場」づくりから定着支援までワンストップで実現する会社です。
「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」の企業理念のもと、2009年創業以来、障害者雇用支援の領域において障害者の「採用」と「定着」に重きを置き、障害者雇用支援サービスサポート付きサテライトオフィス「INCLU」を運営。障害者雇用に関する総合コンサルティングを軸に、屋内農園型障害者雇用支援サービス「IBUKI」、ロースタリー型障害者雇用支援サービス 「BYSN」、企業/障害当事者向けカスタマイズ研修、在宅雇用支援、障害者採用支援などサービスメニューを拡充しています。一つでも多くの選択肢をつくり、多様な人々の可能性を拡張することで、誰もが自分らしく生きる社会を目指しています。