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武蔵野市が「旧赤星鉄馬邸」一般公開 市が取得後初、保存活用に向け

旧赤星鉄馬邸内観。玄関と2階へ続くらせん階段

旧赤星鉄馬邸内観。玄関と2階へ続くらせん階段

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 武蔵野市が10月9日と29日に「旧赤星鉄馬邸」(武蔵野市吉祥寺本町4)の一般公開を行った。

広い庭に臨む旧赤星鉄馬邸

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 1882(明治15)年生まれの実業家である赤星が、チェコ共和国出身の建築家アントニン・レーモンドに設計を依頼した自邸で、1934(昭和9)年に完成した。鉄筋コンクリート造りで地下1階、地上2階。敷地面積は約4400平方メートルあり、緑豊かな庭にはフジやケヤキなど、同市が指定した32本の保存樹木も残る。

 1944(昭和19)年に陸軍、戦後はGHQに接収され、1956(昭和31)年以降はカトリック・ナミュール・ノートルダム修道女会が所有し、修道施設として使っていた。シスターのなり手不足により閉鎖が決まり、民間への売却が検討されていたという。

 市総合政策部資産活用課の監物契さんは「価値ある建物と庭を守りたいという修道女会の強い思いが宅地分譲などの計画を聞く中で芽生えたことから、2020年に建物の寄贈がかなった。この辺り一帯は公園空白地域でもあり、市としても緑広がる貴重な庭を残し、公園などに活用できないかと考えていた」と話す。

 耐震診断の結果を踏まえ常時公開を行っていないが、今後の保存・活用に向けた一歩として、寄贈後初めて一般公開を行い1回目は70人、2回目は76人が参加した。監物さんは「2回合わせて1600人を超える希望があった。関西や四国など遠方からも応募があり、建物への関心の高さが感じられた。今回は優先的に市民の皆さんへ邸内のガイドツアーを行い、併せて利活用事業概要のパネル展示、庭園などを見てもらった。見学後はどのように活用してほしいかなど期待することをシール投票してもらい、結果を基にアンケートも実施した」と話す。

 今年2月に市が国の登録有形文化財の申請を行い、本年度末に登録される見込み。監物さんは「吉祥寺という商業圏にありつつ住宅地の中に広がる、この広大な庭と建物をどのように継承し活用できるか、ワークショップや社会実証のようなことも企画している。今後さまざまな人の意見を聞きつつ、市民の皆さんとの交流の中で考え形にしていきたい」と話す。

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