吉祥寺の名所や「あるあるネタ」をテーマにした「吉祥寺かるた」が、10月20日に発表された2021年度グッドデザイン賞を受けた。主催は日本デザイン振興会(港区)。
同賞は1957(昭和32)年、「国内の産業と生活を発展させていくためには、デザインが必要」という考えの下、通商産業省が主催した「グッドデザイン商品選定制度」に合わせて創設された。「生活用品」「家電」のほか「建築」「メディア・コンテンツ」など18のカテゴリーを設け、無形、有形にかかわらずその質を評価、顕彰する。今年は「希求と行動」をテーマに掲げる。
吉祥寺のデザイン会社のクラウドボックスが2019年に企画制作した同かるたは、「コミュニティづくりの取り組み・活動」のカテゴリーで賞を受けた。社長の徳永健さんは「SNSを活用し不特定多数の人から読み札を募集する中で、地域への個々の『偏愛』が可視化・共有化された。ご当地かるたはコミュニティーを育てるプラットホームになると実感した」と話す。
審査員は「誰もが知っている『かるた』という形式を用いてプロジェクトを進めた点が秀逸。多くの人が制作に関わることができたのも、その形式が持つ公共性によるところが大きい。住民参加で進めるプロジェクトが大切にすべき視点がいくつも含まれている」と評価した。
併せて、各審査委員が一点だけ選ぶ「私の選んだ一品」にも選出。同かるたを選んだ都市デザイナーの飯石藍さんは「個性が失われつつある街の魅力を楽しく再発見していくとても良い取り組み。作って遊ぶという取り組みそのものが時代の変化と共に繰り返されていくことで、らせん状にコミュニティーが醸成されていくという視点も素晴らしい」と話す。
徳永さんは「かるたに関わり、応援してくれた人たちに受賞の報告ができ、喜んでもらえたことが何よりうれしい。『遊びとデザインでコミュニティーを育てていく』というキャッチフレーズで、今後も吉祥寺に限らずさまざまなコミュニティーと関わってかるたを作り、地域の場の熱をあげていきたい。『制作のプロセスそのものが価値を生む』という今回の評価は、活動の大きな後押しになると思う」と話す。