再開発予定の旧公団「阿佐ヶ谷住宅」で若手作家の個展

旧公団「阿佐ヶ谷住宅」の「とたんギャラリー」

旧公団「阿佐ヶ谷住宅」の「とたんギャラリー」

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 旧公団阿佐ヶ谷住宅内の「とたんギャラリー」(杉並区成田東4、TEL 03-5397-0414)で2月3日より、浅井裕介個展「刺繍のワッペン」が開催される。

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 浅井さんは1981年東京都出身。神奈川県立上矢部高等学校美術陶芸コース卒業後、「空気の絵」展(2004年)など、首都圏を中心に全国各地で展示会を開いている。マスキングテープなど身の回りのものを用いて描いているのが特徴。少年時代を阿佐ヶ谷で過ごしたという浅井さんは、「同住宅は穏やかな散歩街で、どこかフラットで懐かしい場所。自分の中にあるそうした風景を感じながら、手の動くまま今回は動物の絵を部屋中に描きたい」とコメントしている。11日にはライブイベント「冬に歌を聞く」も開催予定。

 同ギャラリーは、老朽化に伴う取り壊し・再開発が予定されている阿佐ヶ谷住宅の住人、大川幸恵さんが、取り壊し決定を機に「多くの人にこの空間を知ってもらいたい」と、昨年10月に開館したもの。 

 阿佐ヶ谷住宅は1958年、建築家・前川國男氏(故人)が設計した日本住宅公団(現都市再生機構)の分譲集合住宅(計350戸)で、テラスハウスに設けた共有の庭などは全国的にも珍しい。再開発に反対する声も上がったが、近年若者の流出や雨漏りが目立ち、昨年春、権利者149人全員が建て替えに同意した。

 メディアで取り上げられたこともあり、写真・建築マニアから近所の小学生から、昔の同住宅を知る年配者まで幅広い世代が同ギャラリーを訪れ、来場者数は延べ1,500人を越えたという。建物が取り壊される瞬間まで変化し続ける部屋の風景を演出するため、各アーティストに対し、「個展終了後に1点以上の作品を部屋に残す」というルールを設けている。

 大川さんは「阿佐ヶ谷住宅やとたんギャラリーという生活空間を見ることで、身の周りの建物や場所、風景の『終わり』を、感傷にとらわれずに考えるきっかけになれば」と話している。

 開場時間は12時~18時。入場無料。不定休。18日まで。

とたんギャラリー 阿佐ヶ谷住宅日記

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