カフェやライブラリーブースを併設したアートスペース「Art Center Ongoing(アートセンター・オンゴーイング)」(武蔵野市吉祥寺東町1、TEL 0422-26-8454)で4月1日より、中崎透さんの個展「キロ“重いのか遠いのか速いのか、分かれ道、もしくはうちに帰るのか”」が始まる。
同展では、「看板の作家」として知られる中崎さんの作品が会場に並ぶ。「中崎さんの作り出す看板は、一つひとつはうさんくさくキッチュ。しかし、それらの看板が一挙に展示される時、整然としてスタイリッシュ、優れて洗練されたものに見えてくる。そして繊細なバランスで構築される展示空間が現れる」と同スペース代表の小川さん。
中崎さんは、2007年に武蔵野美術大学博士課程の満期単位を取得した後退学し、全国規模で活動を続ける1976年生まれのアーティスト。他のアーティストとユニットを組んだりして、「カニ革命 returns!!」や「公開秘密なかざき」などさまざまなプロジェクトを立ち上げてきた。
中崎さんは自身の看板作品について、「看板の内容にしても、絶妙なしょぼさであることがすごく大事だったりする。また作品に至るまでのプロセスやシステムが最も見せたいところ。作品が作品として生成される手前のちょっとした出来事に関心が傾いてきている」と話す。
期間中、参加者が「気の利いたうそを持参する」(小川さん)「エイプリルフール」と題したオープニングパーティー(同1日)や、同スペースで地図を受け取り、井の頭公園に向かうと途中に作品を見つけることができる「キロ花見@井の頭公園」(同4日)を行う。
ほかにも写真家の下道基行さん、水戸芸術館現代美術センター・学芸員の竹久侑さん、小川さん、中崎さんが参加するトークイベント「こんなメンツでビール片手に話したらおもしろいかな、と思って。/その1」、(同5日)などを予定している。入場料は1000円で、先着30人。
小川さんは「『しょぼさ』と『洗練』のバランス、あるいは『故意の非洗練』を駆使することで作品世界が構築されていく。鮮やかな色彩で提示される言葉、メッセージ。鮮烈に目に飛び込んでくるそれらの文字列に、果たして意味が込められているのかどうかはわからない。ただ、一見意味のないように見えるものの上辺に、作家としての思考の痕跡が立ち現れる。『しょぼさ』と『洗練』の間で揺れる中崎透の世界を堪能してほしい」と話す。
営業時間は12時~21時。月曜・火曜定休。4月12日まで。