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荻窪で対話型イベント「公開読書会」-劇作家ら「海辺のカフカ」語る

6次元「公開読書会」の様子。会場は超満員。

6次元「公開読書会」の様子。会場は超満員。

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 古本を扱う荻窪のカフェ・ギャラリー「6次元」(杉並区上荻1、TEL 03-3393-3539)で9月2日、「21世紀の現代文学をみんなで読む」と題し、トークやディスカッションを楽しむイベント「公開読書会」が行われた。

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 「3年ほど前から定期的に村上春樹の読書会を開催していて好評を頂いている。いつもは作品に出てくる音楽を実際に流したり、食べ物を再現したりして小説の世界を楽しんでいる。知り合い同士も多くなってきており、ディープなファンが多い印象。今回のイベントは初めての方も多いので、より開かれたものになれば」と同店店主の中村さん。

 題材に選ばれたのは村上春樹さんの「海辺のカフカ」(新潮社)。ゲストとして劇作家で演劇集団「カクシンハン」の演出家でもある木村龍之介さんを迎え、「カフカ少年は何を達成したのかを演劇的視点から読み返す」ことをテーマに2時間に及ぶトークが展開された。

 参加者それぞれが作品に対する思いや疑問点、出合いや印象的なシーン・言葉などを挙げ、それぞれの見解を披露。中には小説の良さをうまく言葉で伝えられずヒントを得るために参加したという人や同作を読み途中の人などもいた。途中、今回のために一部のシーンを脚本化した木村さん作成の台本を元に、参加者から役を募って読み合わせをする場面もあり、会は盛況に終わりを迎えた。

 「皆さんがすごく想像力を働かせて読んでいるのだと知り、芝居をやっている人間としては心強く感じた。本当に一人一人意見も感じ方も違って、あらためて文学の力、村上春樹の力を感じた」と木村さん。

 今回の対話型イベント「fork and idea」は、デザイナーの古屋さん、小山(おやま)さん、awai booksが企画を担当。「コミュニケーションが大事だと言われる一方で、情報社会に飲み込まれどんどん内にこもっていく人が多いように思う。未来を生きていくにはもっと情報を共有していくことが大切。共有するためには誰かと話すことがとても大事で、目を見てその人の言い方や場の空気を感じることで想像力が働き、伝わっていく。ネットでは情報は伝達されるけれどそれが想像力にはなかなかつながりにくいように感じ、『対話型』のイベントを始めようと思った」と古屋さんは話す。

 「今回は授業でいう『国語』の部分。今後は算数、理科、社会などさまざまなイベントを考えている」とも。イベントの様子は毎回冊子にまとめ、フリーペーパーとして同店などで配布をしていくという。

 読書会は次回、10月20日に開催予定で、題材には「村上朝日堂」(新潮社)を予定している。今後のイベントの詳細については同店ホームページで確認できる。

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